バランス型投資信託とは?メリット・デメリットと選び方をFPが解説

投資信託で資産形成を始めようとすると、「株式と債券を何%ずつ持てばよいのか」「国内と海外のどちらへ投資すればよいのか」と迷う人は少なくありません。自分で複数の商品を組み合わせようとしても、適切な資産配分が分からず、運用を始める前に手が止まってしまうこともあります。

このような場合の選択肢となるのが、バランス型投資信託です。バランス型投資信託は、国内外の株式、債券、REITなど、複数の資産を一つの商品に組み合わせています。1本購入するだけで複数の国や資産へ分散でき、運用会社が資産配分の管理やリバランスを行うため、投資家自身が何本もの商品を売買する手間を減らせます。

一方、「バランス型」という名称は、誰にとっても適切な配分であることを意味しません。株式を20%程度しか含まない商品もあれば、株式を70~80%程度含む商品もあります。どちらもバランス型に分類されることがありますが、期待できる収益と価格変動は大きく異なります。

また、4資産均等型や8資産均等型のように、各資産へ同じ金額を配分する商品であっても、リスクまで均等になるわけではありません。株式やREITは債券より値動きが大きいため、資産全体の値動きには株式やREITが強く影響することがあります。

結論からいえば、バランス型投資信託は、資産配分やリバランスを自分で行う負担を減らし、シンプルに分散投資を続けたい人にとって利用しやすい商品です。ただし、商品名や資産数だけで選ばず、株式比率、国内外の配分、REITの有無、配分変更のルール、信託報酬などを確認しなければなりません。

この記事では、バランス型投資信託の仕組み、主な種類、リバランスの考え方、メリットとデメリット、家計に合った選び方を、金融商品の販売を目的としない独立系FPの立場から解説します。

※本記事は2026年7月時点の制度や一般的な商品性に基づいています。特定の商品を推奨するものではありません。バランス型投資信託には元本割れの可能性があり、将来の運用成果も保証されません。

目次

バランス型投資信託とは?

バランス型投資信託とは、株式、債券、REITなど、値動きや収益源が異なる複数の資産へ投資する商品です。国内と海外の資産を組み合わせる商品も多く、1本で資産と地域の両方を分散できます。

例えば、国内株式25%、先進国株式25%、国内債券25%、先進国債券25%というように、あらかじめ基本となる資産配分を決めて運用します。市場の値動きによって配分がずれた場合は、運用会社が売買を行い、基本配分へ戻します。

ただし、すべてのバランス型が同じ方法で運用されるわけではありません。基本配分を維持する商品、市場環境に応じて配分を変える商品、退職などの目標年に向けて株式を減らす商品などがあります。

株式・債券・REITなどを1本に組み合わせた商品

株式は、企業の成長による値上がりや配当を期待できる一方、短期的な値動きが大きくなります。債券は、株式より期待できる収益が低い傾向にありますが、資産全体の価格変動を抑える役割を持ちます。

REITは、オフィス、住宅、物流施設、ホテルなどから得られる賃料収入を主な収益源とする不動産投資信託です。株式や債券とは異なる収益源を加えられる可能性がありますが、市場環境によっては株式と同じように大きく下落します。

バランス型投資信託は、これらの資産を一つの商品に組み合わせます。投資家は株式投資信託、債券投資信託、REIT投資信託をそれぞれ購入しなくても、1本で複数資産を保有できます。

金融機関によっては100円程度から積立設定ができるため、まとまった資金がなくても分散投資を始められます。ただし、複数資産へ分散されていても元本保証ではありません。株式、債券、REITが同時に下落すれば、バランス型投資信託の基準価額も大きく下がる可能性があります。

「バランス」は誰にとっても最適という意味ではない

商品名に「バランス」「安定」「成長」などの言葉が入っていると、自分に合った資産配分を自動的につくってくれるように感じるかもしれません。しかし、バランス型投資信託の資産配分は、運用会社が商品の方針として設定したものです。

投資家一人ひとりの年齢、家族構成、預貯金、住宅ローン、資金を使う時期などに合わせて個別に調整されるわけではありません。

例えば、株式比率20%、債券比率80%の商品と、株式比率80%、債券比率20%の商品は、どちらもバランス型と呼ばれる場合があります。前者は値動きを抑えやすい一方、期待できる収益も低くなる傾向があります。後者は高い成長性を期待できる可能性がありますが、株価下落時には大きく値下がりします。

また、「安定型」「標準型」「成長型」といった名称の基準は、すべての運用会社で統一されているわけではありません。ある商品の標準型が株式50%でも、別の商品では株式70%ということがあります。

商品名の印象だけで安全性を判断せず、目論見書や月次レポートで実際の株式、債券、REITの比率を確認する必要があります。

バランス型投資信託の投資形態

バランス型投資信託には、複数の資産へ直接投資するものもあれば、複数の投資信託を組み入れるものもあります。

「ファミリーファンド方式」では、投資家が購入する投資信託から、実際に株式や債券を保有するマザーファンドへ資金を投じます。同じ運用会社の複数商品が一つのマザーファンドを共同利用することで、運用を効率化する仕組みです。

「ファンド・オブ・ファンズ方式」では、株式や債券を直接購入するのではなく、ほかの投資信託を組み入れます。国内外の運用会社の商品を組み合わせやすい一方、投資先ファンドでも費用がかかる場合があります。

ファンド・オブ・ファンズを選ぶ際は、表面上の信託報酬だけでなく、投資先ファンドの費用を含めた実質的な負担を確認します。目論見書には、投資形態や実質的な信託報酬の目安が記載されている場合があります。

仕組みが複雑だから悪い商品ということではありません。大切なのは、どこへ投資しているか、どの程度の費用を負担するかを把握することです。

バランス型投資信託に組み入れられる主な資産

バランス型投資信託には、国内外の株式や債券を中心に、商品によってREITなども組み入れられます。同じ「8資産型」でも、為替ヘッジの有無や投資対象となる指数が異なる場合があります。

国内株式

国内株式は、日本企業の成長や配当を収益源とします。日本で生活し、収入や自宅なども国内経済の影響を受ける人が多いため、国内株式を増やしすぎると、家計全体が日本へ偏ることがあります。

一方、円で生活する人にとって、外国為替相場の影響を直接受けないことや、国内企業の成長を取り込めることは特徴です。

先進国株式

先進国株式は、米国や欧州などの企業へ投資します。多くの商品では米国株式の比率が高くなるため、「先進国へ均等に投資する商品」とは限りません。

企業の成長を期待できる一方、株価と為替の両方によって基準価額が変動します。円安は円換算額の上昇要因、円高は下落要因になります。

新興国株式

新興国株式は、中国、インド、台湾など、経済成長の途上にある国や地域の企業へ投資します。高い成長性を期待できる可能性がありますが、政治、法制度、通貨、流動性などのリスクも大きくなります。

新興国株式を含むことが分散につながる場合もありますが、値動きは先進国株式より大きくなる傾向があります。

国内債券

国内債券は、日本国債や国内企業の社債などへ投資します。外国為替相場の影響を受けず、株式やREITより値動きが小さい傾向があるため、資産全体の価格変動を抑える役割を持ちます。

ただし、元本保証ではありません。国内金利が上昇すると、既に発行されている債券の価格が下がり、基準価額も下落する可能性があります。

先進国債券

先進国債券は、米国や欧州などの国債や社債へ投資します。国内債券より高い利息収入を期待できる場合がありますが、為替ヘッジなしの商品では為替変動の影響を受けます。

債券価格の値動きが小さくても、円高によって円換算後の資産価値が大きく下がることがあります。バランス型全体で為替ヘッジを行うのか、資産ごとに対応が異なるのかを確認しましょう。

新興国債券

新興国債券は、比較的高い利回りを期待できる一方、発行体の信用、政治、通貨、流動性などのリスクが大きくなります。

「債券」という名称でも、国内債券のように資産全体の値動きを抑えるとは限りません。市場環境によっては、新興国株式と同時に大きく下落することもあります。

国内REIT・海外REIT

国内REITは日本国内、海外REITは海外のオフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテルなどへ間接的に投資します。賃料収入など、株式や債券とは異なる収益源を加えられることが特徴です。

一方、REITは金利、不動産市況、借入状況などの影響を受けます。海外REITでは為替変動も加わります。価格変動は債券より大きく、株式と同時に下落する場合もあるため、安定資産として扱うのは適切ではありません。

バランス型投資信託の主な種類

バランス型投資信託は、組み入れる資産の数や配分方法によって分類できます。資産数が多いほど優れているわけではなく、自分が必要とする資産が適切な割合で含まれているかが判断基準になります。

4資産均等型

4資産均等型では、一般的に国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券などへ25%ずつ投資します。

株式と債券を半分ずつ保有でき、資産構成も比較的理解しやすいことが特徴です。REITや新興国資産を含まない商品であれば、8資産均等型より値動きの要因を把握しやすくなります。

ただし、商品によって4資産の内容は異なります。国内外の株式と債券を組み合わせるとは限らないため、名称だけで判断しないようにしましょう。

6資産型

6資産型には、国内外の株式と債券にREITを加える商品などがあります。4資産型より投資対象を増やせますが、すべての資産へ同じ割合で投資するとは限りません。

例えば、株式や債券を中心とし、REITは少量だけ組み入れる商品もあります。資産数だけでは値動きを判断できないため、実際の配分を確認する必要があります。

8資産均等型

8資産均等型では、一般的に次の資産へ12.5%ずつ投資します。

  • 国内株式
  • 先進国株式
  • 新興国株式
  • 国内債券
  • 先進国債券
  • 新興国債券
  • 国内REIT
  • 海外REIT

1本で国内外の株式、債券、REITへ投資でき、特定の資産の将来性を予想せず、同じ割合で保有できることが特徴です。

一方、株式とREITを合計すると資産全体の62.5%を占めます。新興国債券も比較的大きく変動する可能性があるため、「8資産へ分散しているから値動きが小さい」とは限りません。

また、世界の市場規模に応じて配分するのではなく、資産区分ごとに同じ金額を投資します。その結果、世界の金融市場に占める規模と比較すると、国内資産やREIT、新興国資産の割合が高くなる場合があります。

株式・債券型

株式と債券だけを組み合わせるバランス型もあります。REITや新興国資産を含まないため、資産構成が比較的シンプルです。

株式30%・債券70%、株式50%・債券50%、株式70%・債券30%など、複数のコースを用意する商品もあります。自分の価格変動への耐性に合わせて株式比率を選びやすい一方、どのコースが適切かは自分で判断しなければなりません。

世界分散型

世界分散型は、国内外の株式、債券、REITなどへ幅広く投資します。国や地域を分散しやすいことが特徴ですが、「世界分散」という名称だけで均等に分散されているとは限りません。

先進国株式のなかでは米国比率が高くなりやすく、外国債券でも特定の通貨の影響を大きく受ける場合があります。資産別の配分だけでなく、国別・通貨別の構成も確認しましょう。

配分方法によるバランス型投資信託の違い

バランス型投資信託は、組み入れる資産だけでなく、資産配分をどのように管理するかによっても特徴が変わります。

固定配分型

固定配分型は、株式50%、債券50%など、あらかじめ定めた基本配分を維持する商品です。市場の値動きによって配分がずれた場合は、リバランスによって元の割合へ戻します。

運用方針が分かりやすく、将来の相場を予想せずに一定の配分を維持できます。一方、投資家の年齢が上がっても、自動的に株式比率が下がるわけではありません。

40歳で選んだ株式70%の商品を60歳まで保有すれば、原則として60歳でも株式70%の運用が続きます。受取時期が近づいたら、自分で株式比率の低い商品などへ変更する必要があります。

資産配分変更型

資産配分変更型は、運用会社が市場環境や経済見通しに応じて株式、債券などの割合を変更します。

例えば、株式市場の上昇が期待できると判断したときに株式を増やし、下落リスクが高いと判断したときに債券や現金を増やす運用が考えられます。

専門家に配分判断を任せられる一方、市場予測が正しい保証はありません。株式を減らした後に市場が上昇し、固定配分型より低い成果になる場合もあります。

運用会社がどのような基準で配分を変えるのか分かりにくい商品もあるため、目論見書で資産配分の範囲や方針を確認します。

リスクコントロール型

リスクコントロール型は、市場の値動きが大きくなったときに株式などのリスク資産を減らし、一定のリスク水準を目指す商品です。

相場が不安定なときに価格変動を抑えられる可能性がありますが、損失を完全に防ぐ仕組みではありません。急激な下落には配分変更が間に合わない場合もあります。

また、下落後に株式を減らすと、その後の回復局面で十分な利益を得られない可能性があります。値動きを抑える代わりに、上昇局面の収益も抑えられることを理解しておきましょう。

ターゲットイヤー型

ターゲットイヤー型は、退職や受取開始を想定する目標年に向けて、資産配分を段階的に変更する商品です。

若い時期は株式比率を高くして成長性を重視し、目標年が近づくと株式を減らして債券や元本確保型などを増やします。企業型DCやiDeCoで用意されている場合もあります。

自分で出口に向けた配分変更を行う負担を減らせる一方、商品の想定する目標年や配分が自分の受取計画に合うとは限りません。退職後すぐに使う人と、年金形式で長く受け取る人では、適切な株式比率が異なります。

また、目標年を迎えれば元本が保証されるわけではありません。目標年時点でも株式や債券を保有していれば、基準価額は変動します。

種類配分の決め方主な特徴主な注意点
固定配分型基本配分を維持方針が分かりやすい年齢に合わせて変わらない
資産配分変更型市場環境に応じて変更専門家に判断を任せられる判断が成果につながる保証はない
リスクコントロール型値動きに応じて調整価格変動を抑えることを目指す回復局面へ乗り遅れる場合がある
ターゲットイヤー型目標年に向けて変更出口準備を自動化しやすい自分の受取計画と合うとは限らない

バランス型投資信託のリバランスとは?

資産運用を続けていると、株式や債券の値動きによって、実際の資産配分が当初の割合からずれていきます。

例えば、株式50%、債券50%で運用を始めた後に株式だけが大きく上昇すると、株式60%、債券40%になることがあります。この状態では、当初の想定より株式の値動きが資産全体へ強く影響します。

このような配分のずれを元へ戻す作業がリバランスです。株式の一部を売却し、その資金で債券を購入することで、再び株式50%、債券50%へ近づけます。

バランス型投資信託では、運用会社が商品の方針に沿ってリバランスを行います。投資家が複数の商品を売買する必要がなく、感情に左右されずに基本配分を維持しやすいことがメリットです。

ただし、リバランスをすれば必ず運用成果が高まるわけではありません。株式が長期間上昇し続ける局面では、値上がりした株式を定期的に売却するため、株式を持ち続ける場合より収益が低くなることがあります。反対に、下落し続ける資産を買い増すこともあります。

リバランスの目的は、利益を最大化することではなく、当初設定した資産配分とリスク水準を維持することです。

均等配分ならリスクも均等になる?

4資産均等型や8資産均等型では、各資産へ同じ金額を配分します。しかし、投資金額が均等でも、資産全体のリスクへの影響が均等になるわけではありません。

例えば、国内債券と新興国株式を12.5%ずつ保有していても、通常は新興国株式のほうが大きく値動きします。資産全体の下落幅には、株式やREITなど値動きの大きい資産が強く影響します。

また、資産数が多いほど分散効果が高くなるとは限りません。株式とREITが同時に下落したり、新興国株式と新興国債券が同じ国の政治・通貨の影響を受けたりすることがあります。

8資産へ分けることには、特定の資産の将来を予想せず、同じ割合で持てる分かりやすさがあります。一方、8資産だから4資産より安全、均等配分だからリスクも均等というわけではありません。

資産数ではなく、それぞれの資産がどのような値動きをし、株式、債券、REITが合計で何%になるかを確認しましょう。

バランス型投資信託のメリット

バランス型投資信託の大きなメリットは、資産配分の決定や管理を簡略化できることです。商品内容が自分の目的に合っていれば、1本の積み立てを続けるだけで複数資産へ分散できます。

1本で複数の資産へ分散できる

個別の投資信託を組み合わせる場合、国内株式、外国株式、国内債券、外国債券などを自分で選び、それぞれの割合を決めます。

バランス型なら、1本購入するだけで複数の資産へ投資できます。商品によっては国内外の株式、債券、REITまで含むため、少額でも幅広く分散できます。

ただし、商品に含まれる資産がすべて自分に必要とは限りません。分散されているかだけでなく、何にどの程度投資しているかを見る必要があります。

資産配分を決める負担を減らせる

初心者にとって難しいのは、商品選びより、株式と債券を何%ずつ持つかを決めることかもしれません。

バランス型では、運用会社があらかじめ複数の配分を用意しているため、自分の値下がりへの耐性に近い商品を選べます。株式比率の異なる複数コースがあれば、成長性と値動きのどちらを重視するかに応じて選択できます。

ただし、運用会社へ任せられるのは、商品内の資産配分です。その商品が家計全体に適しているかは、投資家自身が判断する必要があります。

リバランスを運用会社に任せられる

複数の投資信託を自分で保有すると、値動きによって配分が変わり、定期的なリバランスが必要になります。売却や買い増しには手間がかかり、課税口座で売却益が出れば税金も発生します。

バランス型では、ファンド内でリバランスが行われます。投資家自身が売買する必要がなく、ファンド内部の売買によって投資家へその都度税金が発生することもありません。

管理の手間を減らしながら、当初の方針を維持しやすい点は、忙しい会社員や子育て世帯にとって大きな利点です。

積立設定と商品管理をシンプルにできる

バランス型投資信託は、金融機関によっては少額から積立設定できます。一度設定すれば毎月自動的に購入されるため、相場を予想して買う時期を決める必要がありません。

保有商品を1本にまとめれば、残高や損益も把握しやすくなります。複数商品の配分や購入額を一つずつ管理する負担も減らせます。

ただし、シンプルであることと、何も確認しなくてよいことは別です。少なくとも年1回程度は、株式比率が現在の年齢や資金の使用時期に合っているかを確認しましょう。

株式100%より心理的な負担を抑えやすい

債券を含むバランス型は、株式100%の商品と比較して値動きを抑えやすい傾向があります。株価が大きく下落したときも、国内債券などが下落幅を抑える可能性があります。

運用途中の値下がりが小さくなれば、不安による売却や積立中止を避けやすくなります。期待できる収益が多少低くても、長期間継続できるなら、自分に合った商品になることがあります。

ただし、株式やREITの比率が高いバランス型は、大幅に下落する可能性があります。「バランス型なら値下がりが小さい」と決めつけず、株式とREITの合計比率を確認することが大切です。

バランス型投資信託のデメリットとリスク

バランス型投資信託は、1本で複数資産へ分散できる便利な商品です。しかし、複数の資産を組み合わせても元本割れの可能性はなくなりません。また、資産配分を運用会社へ任せることには、自分で細かく調整できないという側面もあります。

元本保証ではない

バランス型投資信託には、株式、債券、REITなど、価格が変動する資産が組み入れられています。複数資産へ分散しても、購入時より基準価額が下がる可能性があります。

株式と債券が常に反対方向へ動くわけでもありません。インフレや急激な金利上昇が起きた局面では、株式と債券が同時に下落することがあります。REITも金利上昇や景気悪化の影響を受けるため、複数資産へ分散すれば損失を完全に防げるわけではありません。

「バランス型だから安全」「株式だけの商品ではないから元本割れしにくい」と考えず、どの程度の下落が起こり得るかを確認しましょう。

株式比率が高い商品は大きく下落する

バランス型の値動きを考えるうえで、最初に確認したいのが株式比率です。株式比率が20%の商品と80%の商品では、相場下落時の影響が大きく異なります。

また、REITも株式と同様に大きく変動する場合があります。株式50%、REIT25%、債券25%の商品なら、値動きの大きい資産が全体の75%を占めます。

商品名に「安定」「標準」「分散」と書かれていても、具体的な株式・REIT比率を見なければ、実際のリスクは判断できません。

自分に不要な資産まで含まれる場合がある

バランス型では、商品が定めた資産配分をそのまま保有します。新興国債券やREITを持ちたくないと思っても、その資産だけを除外することはできません。

例えば、既に自宅や投資用不動産を保有している人がREITを多く含むバランス型を選ぶと、家計全体が不動産へ偏る可能性があります。預貯金を十分に保有している人は、投資信託の中に国内債券をどこまで含めるかを考える余地もあります。

不要な資産が含まれている場合は、別のバランス型を選ぶか、単一資産の投資信託を自分で組み合わせる方法を検討します。

資産配分を細かく変更できない

バランス型投資信託では、投資家が「国内株式だけを5%減らしたい」「債券は国内だけにしたい」といった細かな変更を行うことはできません。

変更したい場合は、保有商品を一部または全部売却し、別の商品を購入することになります。課税口座で利益が出ていれば、売却によって税金がかかる場合もあります。

資産配分の管理を任せられることはメリットですが、運用を自分で調整したい人にとっては自由度の低さがデメリットになります。

個別のインデックスファンドより信託報酬が高い場合がある

低コストの株式・債券インデックスファンドを自分で組み合わせる場合と比べて、バランス型の信託報酬が高いことがあります。資産配分の管理やリバランスを任せるための費用を含むと考えることもできますが、長期運用では小さなコスト差も積み重なります。

ファンド・オブ・ファンズ方式では、購入するバランス型だけでなく、投資先ファンドでも費用が発生する場合があります。目論見書で実質的な信託報酬や総経費率を確認しましょう。

ただし、信託報酬が最も低い商品が必ず最良とは限りません。投資対象と資産配分が自分の目的に合う商品同士で、費用を比較することが大切です。

固定配分型は年齢に合わせて自動調整されない

固定配分型では、市場の値動きによって配分がずれたときにリバランスを行いますが、投資家の年齢に合わせて株式比率を下げるわけではありません。

30代で株式70%のバランス型を選び、そのまま保有すれば、原則として50代、60代になっても株式70%の配分が続きます。

退職や受取時期が近づいたら、株式比率の低いバランス型へ変更する、債券投資信託や元本確保型を別に増やすなどの見直しが必要です。

ほかの投資信託と組み合わせると配分が分かりにくくなる

バランス型に全世界株式やS&P500などを追加すると、株式比率や国別配分が変化します。

例えば、8資産均等型と全世界株式を半分ずつ保有している場合、単純に「分散商品を2本持っている」と考えることはできません。8資産均等型にも国内外の株式が含まれているため、合算した株式比率を計算する必要があります。

商品数を増やすほど分散できるとは限りません。複数の商品を持つなら、それぞれにどのような役割を持たせるのかを明確にしましょう。

バランス型投資信託と全世界株式はどう違う?

バランス型投資信託と全世界株式型は、どちらも1本で地域を分散しやすい商品です。しかし、投資する資産が異なるため、期待できる収益や値動きも変わります。

投資対象と値動きが異なる

全世界株式型は、基本的に世界各国の株式へ投資します。多くの国や企業へ分散されていても、資産の種類は株式です。世界的に株価が下落すれば、基準価額も大きく下がる可能性があります。

バランス型は、株式に加えて債券やREITなどを組み入れます。債券が株式の下落を補えば、全世界株式より値動きを抑えられる場合があります。

比較項目全世界株式型バランス型
主な投資対象世界各国の株式株式・債券・REITなど
成長性比較的高い株式比率によって異なる
値動き比較的大きい抑えられる場合がある
資産配分原則として株式100%商品が定めた配分
リバランス国・銘柄の構成調整資産間の配分も調整
主な注意点株式市場全体の下落商品ごとに中身が大きく異なる

受取まで長く、大幅な下落があっても積み立てを続けられる人は、全世界株式を検討しやすいでしょう。株式100%の値動きに不安があり、債券を組み合わせて継続しやすくしたい人は、バランス型が選択肢になります。

どちらが将来高い成果になるかは、事前には分かりません。年齢だけでなく、資金を使うまでの期間と値下がりへの耐性から判断します。

バランス型1本と複数ファンドを組み合わせる方法の違い

株式や債券のインデックスファンドを自分で組み合わせても、バランス型と同様の資産配分をつくれます。

比較項目バランス型1本複数ファンドの組み合わせ
商品管理シンプル商品数が増える
資産配分商品側が決める自分で決められる
リバランスファンド内で行う自分で行う
配分変更商品単位で変更資産ごとに変更できる
コスト商品による低く抑えられる場合がある
自由度比較的低い高い

投資にかける時間を抑え、決めた商品をシンプルに積み立てたいなら、バランス型1本が利用しやすいでしょう。自分で資産配分を決め、年齢や家計に応じて細かく調整したいなら、複数ファンドを組み合わせる方法が向いています。

バランス型は初心者、複数ファンドは上級者と一律に分ける必要はありません。管理の簡単さと自由度のどちらを重視するかによって選択が変わります。

家計でバランス型投資信託はどのような役割を持つ?

バランス型投資信託は、長期的な資産形成をシンプルに始める土台として活用できます。しかし、バランス型の中に債券が含まれていても、家計の預貯金が不要になるわけではありません。

急な病気、失業、家電の故障などに備える生活防衛資金は、すぐに引き出せる預貯金で確保することが基本です。バランス型投資信託は売却時に元本割れしている可能性があり、換金にも日数がかかります。

数年以内に必要になる教育費、住宅購入資金、自動車の買い替え資金なども、バランス型だけで準備するのは慎重に考えましょう。債券中心の商品でも、市場環境によって基準価額が下落します。

家計全体では、預貯金、株式、債券、REITなどを合算して配分を確認します。バランス型だけを見て「株式50%・債券50%」でも、別に全世界株式を保有していれば、金融資産全体の株式比率は50%を超えます。

新NISAで利用する場合

新NISAのつみたて投資枠には、一定の要件を満たすバランス型投資信託も含まれます。対象商品かどうかは、金融庁や利用する金融機関の最新一覧で確認できます。

NISA口座では対象商品の売却益や分配金が非課税になりますが、元本割れを防ぐ制度ではありません。また、NISA口座の損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除ができません。

新NISAでバランス型と株式投資信託を組み合わせる場合は、NISA口座全体で実際の資産配分を確認しましょう。

iDeCo・企業型DCで利用する場合

iDeCoや企業型DCでは、運用商品としてバランス型やターゲットイヤー型が用意されている場合があります。

自分で株式・債券ファンドを組み合わせる負担を減らし、リバランスを任せられることは、長期運用と相性のよい特徴です。

ただし、固定配分型を選んだ場合、受取時期が近づいても株式比率は自動的に下がりません。受取開始のおおむね10年前から、株式比率が現在の退職計画に合っているかを確認し、必要に応じて債券比率の高い商品や元本確保型へ段階的に移します。

ターゲットイヤー型の場合も、目標年と自分の受取予定が合っているか、目標年時点で株式が何%残るのかを確認しましょう。

バランス型投資信託が向いている人・向いていない人

バランス型投資信託が向いている可能性があるのは、次のような人です。

  • 株式と債券の配分を自分で決めるのが難しい
  • 複数商品の管理を減らしたい
  • リバランスを自分で行いたくない
  • 株式100%の値動きに不安がある
  • シンプルな積立投資を長く続けたい

一方、次のような人は、単一資産の投資信託を組み合わせる方法も検討できます。

  • 資産配分を自分で細かく調整したい
  • 投資対象ごとに低コストの商品を選びたい
  • REITや新興国債券など、保有したくない資産がある
  • 預貯金を含めて自分で配分を管理できる
  • 既に複数商品を保有し、バランス型を加えると配分が複雑になる

バランス型だから初心者向け、単一資産型だから経験者向けとは限りません。自分が無理なく管理できる方法を選ぶことが大切です。

FP相談の現場で想定される事例

42歳の会社員が、新NISAで全世界株式型と8資産均等型を毎月同じ金額ずつ積み立てているケースを考えます。

相談者は、「全世界株式で世界へ分散し、8資産均等型でさらに分散しているので、安全性が高い」と考えていました。しかし、8資産均等型にも国内株式、先進国株式、新興国株式が含まれています。

2商品を半分ずつ保有すると、全世界株式部分に加え、8資産均等型の37.5%に当たる株式部分も組み合わさります。さらに国内外のREITも含まれるため、値動きの大きい資産は本人が考えているより多くなります。

一方、相談者には十分な預貯金があり、受取まで20年以上あります。大きな値下がりにもある程度耐えられるのであれば、全世界株式を中心にする方法が考えられます。株式100%では不安なら、8資産均等型または株式と債券を組み合わせたバランス型を中心にする方法もあります。

重要なのは商品数を増やすことではなく、合算した株式、債券、REITの比率を確認することです。両方を持つ場合も、それぞれにどのような役割を持たせるのかを明確にします。

初心者が陥りやすいバランス型投資信託の失敗例

最も多い誤解は、「バランス型なら安全」と考えることです。株式やREITの比率が高ければ、大幅に値下がりする可能性があります。

資産数が多いほど安全と考えることにも注意が必要です。8資産均等型は幅広く分散されていますが、株式やREITなど値動きの大きい資産の影響を強く受ける場合があります。

ほかにも、次のような失敗が考えられます。

  • 「安定型」「成長型」という商品名だけで選ぶ
  • 株式比率を確認しない
  • 全世界株式などを追加し、実際の配分が分からなくなる
  • 固定配分型が年齢に合わせて変化すると思う
  • ターゲットイヤー型なら退職時に元本保証されると思う
  • 信託報酬だけを比較し、投資対象を見ない
  • 生活防衛資金までバランス型へ投資する

商品名や本数ではなく、実際に何へ何%投資しているかを確認する習慣を持ちましょう。

バランス型投資信託を選ぶ8つの手順

バランス型投資信託を選ぶときは、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 投資する資金を使うまでの期間を確認する
  2. 生活防衛資金と近い将来の支出を預貯金で確保する
  3. 許容できる値下がり幅から株式・REIT比率を考える
  4. 組み入れる資産と国・地域を確認する
  5. 固定配分型、配分変更型、リスクコントロール型、ターゲットイヤー型のどれかを確認する
  6. 配分変更とリバランスのルールを見る
  7. 信託報酬、実質的な費用、純資産総額を比較する
  8. ほかの投資信託と預貯金を含めて資産配分を確認する

最初から最適な商品を選び切ろうとする必要はありません。年1回程度、現在の家計、受取までの期間、値下がりへの耐性を確認し、必要に応じて見直します。

バランス型投資信託に関するよくある質問

バランス型投資信託は元本割れしますか?

元本割れする可能性があります。株式、債券、REITなどの価格が下落すれば、基準価額も下がります。分散投資は特定資産の影響を抑える方法であり、損失をなくす仕組みではありません。

バランス型は初心者に向いていますか?

複数資産の配分やリバランスを任せられるため、初心者にも利用しやすい商品です。ただし、商品ごとに株式比率や値動きが異なるため、中身を確認せずに選べる商品ではありません。

4資産均等型と8資産均等型はどちらがよいですか?

4資産型は構成が比較的シンプルで、株式と債券を中心に運用しやすいことが特徴です。8資産均等型は新興国資産やREITも含み、投資対象を広げられます。

資産数の多さではなく、新興国債券やREITを保有したいか、株式・債券比率が自分に合うかで判断します。

資産数が多いほど安全になりますか?

必ずしも安全になるわけではありません。値動きが似ている資産を増やしても分散効果は限定的です。また、各資産へ均等に投資しても、リスクへの影響は均等になりません。

バランス型と全世界株式を両方持ってもよいですか?

両方を持つこと自体に問題はありません。ただし、バランス型にも国内外の株式が含まれているため、株式比率や国別配分が重複します。

両方を合算した資産配分を確認し、「全世界株式で成長性を加える」など、組み合わせる目的を明確にしましょう。

バランス型ならリバランスは不要ですか?

商品内部の資産配分については、運用会社が方針に沿ってリバランスします。しかし、預貯金やほかの投資信託を含む家計全体の配分までは調整してくれません。

家計全体では年1回程度、株式、債券、REIT、預貯金の割合を確認しましょう。

ターゲットイヤー型は退職時に元本保証されますか?

元本保証されません。目標年が近づくにつれて株式を減らすことで値動きを抑えることを目指しますが、債券なども価格変動します。

目標年時点で何に何%投資する設計なのかを確認する必要があります。

まとめ|バランス型は1本で分散できるが中身の確認が欠かせない

バランス型投資信託は、株式、債券、REITなどへ1本で分散でき、資産配分の管理やリバランスを運用会社へ任せられる商品です。複数の投資信託を管理する負担を減らし、シンプルに積立投資を続けたい人にとって利用しやすいでしょう。

一方、「バランス型」という名称だけで安全性を判断することはできません。株式比率20%の商品と80%の商品では、価格変動が大きく異なります。資産数や投資金額が均等でも、リスクまで均等になるわけではありません。

固定配分型は、投資家の年齢に合わせて自動的に株式を減らしません。受取時期が近づいたら、株式比率の低い商品、債券、元本確保型などへ段階的に移す必要があります。ターゲットイヤー型も、自分の退職・受取計画に合っているかを確認しなければなりません。

また、全世界株式などほかの商品と組み合わせると、実際の株式比率や国別配分が分かりにくくなる場合があります。商品数を増やすことではなく、すべての保有商品を合算して資産配分を見ることが大切です。

バランス型投資信託を選ぶ際は、株式・債券・REITの比率、投資地域、配分変更の方法、リバランス、信託報酬を確認しましょう。そのうえで、預貯金を含む家計全体の資産配分と、資金を使うまでの期間に合った商品を選ぶことが、無理なく運用を続けるための基本になります。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次