企業型確定拠出年金の商品はどう選ぶ?投資信託の選び方と年代別の資産配分をFPが解説

企業型確定拠出年金(企業型DC)に加入すると、会社から運用商品の一覧を渡され、自分で商品と配分を決めることになります。しかし、一覧には定期預金、保険商品、国内外の株式投資信託、債券投資信託、バランス型などが並んでおり、「結局、どれを選べばよいのか分からない」と感じる人も少なくありません。

よく分からないまま元本確保型の商品を選んだり、最初に設定された商品を変更せずに放置したりしているケースも見られます。一方で、運用期間や値動きへの耐性を考えず、株式投資信託に偏りすぎることにも注意が必要です。企業型DCは老後資金を準備する制度であるため、現在の年齢だけではなく、受取開始までの期間や退職後の使い方まで考えて商品を選ぶ必要があります。

基本的には、受取まで長い資産形成期は、世界の企業や経済の成長を取り込める株式投資信託を中心に運用しやすい時期です。その後、受取開始が近づいたら、株式投資信託の一部を債券投資信託や元本確保型商品へ段階的に移し、資産全体の価格変動を抑えていく方法が考えられます。

ただし、「20代なら株式100%」「50代になったら債券中心」と一律に決められるものではありません。この記事では、企業型DCで選べる商品の特徴、投資信託を比較するポイント、20代から50代までの資産配分例、受取前のスイッチングまで、独立系FPの立場から中立的に解説します。

※本記事は2026年7月時点の制度や一般的な商品性に基づいて作成しています。掲載する資産配分は考え方を理解するための一例であり、特定の商品や運用成果を推奨・保証するものではありません。

目次

企業型確定拠出年金の商品選びで最初に知っておきたいこと

企業型DCの商品を選ぶ前に、まずは制度の基本的な仕組みを理解しておきましょう。企業型DCでは、会社が制度を用意して掛金を拠出していても、原則として運用する商品は加入者自身が選びます。どの商品をどの割合で保有するかによって、将来受け取れる金額が変わります。

商品選びに唯一の正解があるわけではありません。大切なのは、それぞれの商品の特徴を理解し、自分の運用期間や家計状況、価格変動への考え方に合った配分をつくることです。

企業型DCは自分で運用商品を選ぶ年金制度

企業型DCは、会社が拠出した掛金を加入者ごとの口座で管理し、加入者自身が運用する制度です。会社によっては、規約に基づき、加入者が給与などから掛金を上乗せする「マッチング拠出」を利用できる場合もあります。

将来の受取額は、会社が拠出した掛金の合計だけで決まるわけではありません。どの商品を選び、どのような運用結果になったかによっても変化します。利益が出ることもあれば、投資信託の価格下落によって資産額が拠出額を下回る可能性もあります。

また、企業型DCで選べる商品は、勤務先が契約している運営管理機関などによって異なります。一般の証券口座で購入できる投資信託を自由に選べるわけではなく、会社の企業型DCで用意された商品一覧の中から選択します。そのため、インターネット上で評判のよい商品を探すよりも、まずは自分の会社の商品一覧と運用状況を確認することが出発点になります。

加入者用のウェブサイトや定期的に届く運用報告書では、現在保有している商品、毎月の掛金の配分、運用損益、資産ごとの比率などを確認できます。「加入した記憶はあるが、何を保有しているか分からない」という場合は、最初にログイン方法や問い合わせ窓口を勤務先へ確認しましょう。

選べる商品は大きく「元本確保型」と「投資信託」に分かれる

企業型DCで用意される商品は、大きく元本確保型商品と投資信託に分けられます。

元本確保型には、定期預金や保険商品などがあります。一定の条件を満たして満期まで保有すれば、原則として元本が確保されることが特徴です。大きく増やすことよりも、金額を安定させる役割に向いています。ただし、途中で解約する場合の取り扱いや、保険商品の解約控除など、商品ごとの条件は確認しなければなりません。

元本確保型は値下がりを避けやすい一方、金利が低ければ資産はほとんど増えません。さらに、物価が上昇すると、口座上の金額が減っていなくても、そのお金で購入できる商品やサービスが少なくなる可能性があります。これを「実質的な価値の低下」といいます。

投資信託は、多くの加入者から集めた資金をまとめ、株式や債券などに分散投資する商品です。主な種類には、次のようなものがあります。

  • 国内株式型
  • 先進国株式型
  • 全世界株式型
  • 新興国株式型
  • 国内債券型
  • 外国債券型
  • 複数の資産を組み合わせたバランス型
  • 年代や目標年に応じて配分を変えるターゲットイヤー型

投資信託には元本保証がなく、運用状況によって価格が変動します。しかし、企業型DCのように運用期間が長い制度では、株式や債券へ分散投資することで、長期的な資産形成を目指せます。

元本確保型と投資信託のどちらか一方だけを選ぶ必要はありません。資産形成期は株式投資信託を中心にし、受取時期が近づいたら債券投資信託や元本確保型を増やすなど、それぞれに異なる役割を持たせることができます。

企業型DCでは運用益に税金がかからない

企業型DCでは、運用中に生じた利益が非課税になります。通常、課税口座で投資信託を運用すると、売却益や分配金には原則として税金がかかりますが、企業型DCの口座内で発生した運用益には、その都度課税されません。

利益を運用に回し続けやすいため、運用期間が長いほど非課税の効果を生かしやすくなります。資産形成期に投資信託を活用する理由の一つといえるでしょう。

ただし、税制優遇があるからといって、どの商品を選んでも資産が増えるわけではありません。投資信託には価格変動があり、受取時の税金も受取方法やほかの退職金、年金などによって異なります。制度上のメリットと、商品の運用リスクは分けて考える必要があります。

企業型DCの商品は何を基準に選べばよい?

企業型DCの商品一覧を見ると、似たような名前の投資信託が複数並んでいることがあります。商品名や直近の運用成績だけを見ても、自分に適しているかどうかは判断できません。

商品を比較するときは、受取までの期間、投資対象、運用方法、コスト、資産規模などを順番に確認します。

まずは受取開始までの運用期間を確認する

最初に確認したいのは、現在の年齢だけではなく、その資金を使い始めるまでに何年あるかです。

例えば、30歳で受取開始まで30年前後ある人と、55歳で数年後に一括受取を予定している人では、許容できる価格変動が異なります。受取まで長い人は、途中で株価が下落しても、その後の回復を待ちながら積み立てを続けられる可能性があります。一方、受取直前に大きく値下がりすると、回復を待てないまま売却しなければならないこともあります。

もっとも、若ければ必ず株式を多く持つべきというわけではありません。株価が20~30%下落したときに不安で売却してしまいそうなら、最初から債券や元本確保型を組み合わせたほうが、運用を継続しやすくなります。

反対に、50代でも企業型DCを年金形式で少しずつ受け取り、当面使わない部分は運用を続ける予定であれば、すべてを元本確保型へ移す必要はないかもしれません。年齢は分かりやすい目安ですが、実際には「受取までの期間」と「受取後も運用を続ける期間」を合わせて考えることが大切です。

投資対象が何かを確認する

投資信託を選ぶときは、商品名よりも、その商品が何に投資しているかを確認します。

国内株式型は主に日本企業の株式へ投資します。先進国株式型は、日本を除く米国や欧州などを中心に投資する商品が一般的です。全世界株式型は、日本を含む先進国と新興国へ幅広く投資します。ただし、対象国や日本株の有無は商品によって異なるため、目論見書や運用商品説明資料で確認する必要があります。

株式投資信託を複数保有していても、投資先が重なっていれば、十分な分散になっていないことがあります。例えば、先進国株式型と全世界株式型を組み合わせると、米国や欧州の企業を重複して保有することになります。重複そのものが問題なのではありませんが、意図せず特定の国や地域へ偏らないようにしましょう。

債券投資信託には、国内債券型と外国債券型などがあります。債券は一般に株式より値動きが小さい傾向がありますが、元本保証ではありません。市場金利が上昇すると既に発行されている債券の価格が下落する場合があり、外国債券型には為替変動の影響も加わります。

「債券」という名称だけで安全と判断するのではなく、国内と海外のどちらに投資しているか、為替ヘッジがあるかなども確認しましょう。

インデックス型とアクティブ型の違いを理解する

投資信託は、運用方法によってインデックス型とアクティブ型に分けられます。

インデックス型は、日経平均株価、TOPIX、MSCIコクサイ、全世界株式指数など、特定の指数に連動する運用成果を目指す商品です。市場全体へ幅広く投資しやすく、運用の仕組みが比較的分かりやすいほか、信託報酬が低い商品も多く見られます。

アクティブ型は、運用担当者が投資先を選び、市場平均を上回る成果などを目指す商品です。市場平均以上の成果が出る可能性がある一方、必ず上回れるわけではありません。調査や銘柄選定に費用がかかるため、インデックス型より信託報酬が高い傾向があります。

初心者が企業型DCで長期運用する場合、まずは低コストのインデックス型を比較すると、商品を絞り込みやすくなります。ただし、インデックス型なら値下がりしないという意味ではありません。連動対象となる市場が下落すれば、投資信託の価格も下がります。

アクティブ型を選ぶ場合は、直近1年間の運用成績だけでなく、どのような方針で投資先を選んでいるか、信託報酬に見合った運用が長期間できているかを確認しましょう。

信託報酬などの運用コストを比較する

投資信託を保有している間は、信託報酬と呼ばれる運用管理費用が継続的に差し引かれます。加入者が別途支払うのではなく、投資信託の資産から日々差し引かれるため、負担している実感を持ちにくい費用です。

信託報酬が年0.2%の商品と年1.5%の商品では、1年間だけを見ると差が小さく感じられるかもしれません。しかし、企業型DCでは数十年間運用することもあるため、コストの差が長期間積み重なります。

比較するときは、同じ投資対象の商品同士で比べることが基本です。国内債券型と新興国株式型では投資対象も期待される値動きも異なるため、信託報酬だけを比べても意味がありません。先進国株式のインデックス型が複数あるなら、その中で信託報酬、連動する指数、運用実績などを比較します。

なお、コストが最も低い商品が必ず最良とは限りません。投資対象や運用方針が自分の目的に合っていることを確認したうえで、同じような商品であればコストの低いものを検討する、という順番が適切です。

純資産総額や運用実績も確認する

純資産総額とは、その投資信託で運用されている資産の総額です。一般に、資金が継続的に流入し、一定の純資産総額がある商品は、安定して運用を続けやすいと考えられます。

純資産総額が小さいだけで悪い商品とは限りません。設定されたばかりの商品は、まだ資産が少ないこともあります。ただし、長期間にわたって資産が減り続けている商品や、規模が極端に小さい商品は、将来的に運用が終了する「繰上償還」の可能性も確認したいところです。

運用実績を見るときは、過去1年の騰落率だけで判断しないようにします。直近で大きく上昇した商品が、今後も同じように上昇するとは限りません。少なくとも3年、5年など複数の期間を確認し、同じ指数や投資対象の商品と比較しましょう。

また、基準価額が高いか低いかは、商品の割安・割高を直接示すものではありません。基準価額が2万円の商品より、1万円の商品が買いやすくて有利ということではないため、基準価額の数字だけで選ぶのは避けましょう。

リスクを「危険」ではなく値動きの幅として考える

資産運用でいうリスクは、単に危険であることではなく、運用成果が上下に振れる幅を指します。一般に株式は債券より値動きが大きく、大きな収益を得られる可能性がある一方、短期間で大きく下落することもあります。

商品選びで考えたいのは、「どのくらいの損失なら不安にならずに運用を続けられるか」です。例えば、資産100万円が一時的に70万円や80万円になっても積み立てを続けられるかを考えると、自分の値動きへの耐性をイメージしやすくなります。

資産形成では、理論上の期待収益を最大にすることだけが目的ではありません。途中で不安になって売却し、運用をやめてしまえば、長期運用のメリットを生かしにくくなります。株式比率を高めることより、下落局面でも継続できる配分にすることが優先されます。

資産形成期は株式投資信託を中心に考えやすい理由

受取まで長い資産形成期では、幅広く分散された株式投資信託を中心に運用する方法が考えられます。株式には価格変動がありますが、企業の利益成長や世界経済の拡大を長期的に取り込める可能性があるためです。

元本確保型だけで運用する場合と比較すると、将来の資産額を増やせる可能性がある一方、元本割れもあり得ます。メリットとリスクの両方を理解したうえで、自分が継続できる比率を決める必要があります。

長い運用期間を株式投資に活用できる

株式市場は、毎年一定の割合で上昇するわけではありません。大きく上昇する年もあれば、景気後退や金融危機などによって大幅に下落する年もあります。そのため、数年以内に使う予定の資金を株式投資信託で運用すると、必要な時期に値下がりしている可能性があります。

一方、企業型DCは原則として老後資金を準備する制度であり、20代や30代であれば受取まで数十年あります。途中で下落しても、積み立てを続けながら回復を待てる時間を確保しやすいことが、株式投資信託を活用する理由です。

ただし、運用期間が長ければ必ず利益が出るわけではありません。長期運用は、短期的な値動きに振り回されにくくするための考え方であり、損失をなくす仕組みではない点には注意が必要です。

毎月の積み立てによって購入時期を分散できる

企業型DCでは、原則として定期的に掛金が拠出され、指定した商品を継続して購入します。一定額を定期的に投資すると、価格が高いときには購入できる口数が少なくなり、価格が低いときには多くなります。

これにより、一度にまとめて購入する場合と比べて、高値だけで投資してしまうリスクを抑えやすくなります。相場の下落時にも同じ金額で積み立てを続ければ、より多くの口数を購入できます。

初心者が陥りやすいのは、株価が上昇しているときに株式投資信託へ変更し、下落すると怖くなって元本確保型へ移すことです。この行動を繰り返すと、高い価格で買い、安い価格で売ることになりかねません。

企業型DCでは、相場の予想によって商品を頻繁に変更するより、最初に決めた資産配分を基本として、年齢や受取時期などの条件が変わったときに見直すほうが、運用方針を保ちやすくなります。

株式100%がすべての人に適しているわけではない

受取までの期間が長ければ、株式比率を高めにしやすいのは事実です。しかし、株式100%がすべての人に適しているとは限りません。

相場が大きく下落すると、幅広く分散された株式投資信託でも資産額が大幅に減ることがあります。100万円の残高が一時的に70万円程度まで減ったとき、冷静に積み立てを続けられないと感じるなら、株式比率を少し下げる方法があります。

株式80%、債券・元本確保型20%などに分ければ、株式100%よりも資産全体の値動きを抑えられる可能性があります。期待できる収益も低くなる傾向がありますが、不安を抑えて継続できるのであれば、結果として自分に適した配分になることもあります。

企業型DCは、最も高い利益を狙うための制度ではなく、老後に向けて長期間積み立てを続けるための制度です。「理論上どの配分が有利か」だけでなく、「自分が途中でやめずに続けられるか」という視点を持つことが欠かせません。

企業型DCにおける年代別の資産配分例

年代別の資産配分は、商品選びの出発点として役立ちます。ただし、同じ年代でも、退職予定年齢、受取方法、ほかの金融資産、価格変動への耐性は異なります。以下の配分は、幅広く分散された株式投資信託を利用し、受取時期が近づくにつれて債券や元本確保型を増やす場合の一例です。

20代の資産配分例|長い運用期間を生かす

20代は受取開始まで30年以上あるケースが多く、株式投資信託を中心にしやすい年代です。一例として、株式投資信託80~100%、債券投資信託・元本確保型0~20%という配分が考えられます。

株式部分には、全世界株式型や先進国株式型など、国や企業を幅広く分散できる商品を中心にする方法があります。特定の国、業種、テーマだけに集中する商品は値動きが大きくなりやすいため、老後資産の中心にする場合は慎重な判断が求められます。

20代であっても、大きな価格下落が不安なら、債券や元本確保型を20%程度組み合わせても構いません。若いから株式100%にしなければならないのではなく、長い運用期間を生かしつつ、継続できる配分を選ぶことが基本です。

30代の資産配分例|成長性を重視しながら家計全体を見る

30代も受取まで長いため、株式を中心にした資産形成を続けやすい年代です。一例として、株式投資信託70~90%、債券投資信託・元本確保型10~30%が考えられます。

30代は、結婚、出産、住宅購入など、家計の変化が大きくなりやすい時期でもあります。ただし、企業型DCの資産は原則として老後まで自由に引き出せないため、教育費や住宅購入資金の代わりにはできません。近い将来に使うお金は預貯金などで準備し、企業型DCは老後資金として分けて考えます。

家計に十分な生活防衛資金があり、新NISAを含めた価格変動にも耐えられるなら、株式比率を高めにする選択肢があります。反対に、預貯金が少ないから企業型DCを元本確保型にする、というだけでは家計の問題を解決できません。引き出せる預貯金と、老後まで引き出せない企業型DCでは役割が異なるためです。

40代の資産配分例|資産形成と受取準備の中間期

40代では、受取開始までまだ10~20年程度あることが多く、引き続き株式による成長を期待できる一方、出口も意識し始めます。一例として、株式投資信託60~80%、債券投資信託・元本確保型20~40%が考えられます。

40代になったからといって、株式を一度に大きく減らす必要はありません。受取まで20年近くある人が元本確保型へ移しすぎると、その後の資産成長やインフレへの対応が難しくなる可能性があります。

一方、企業型DCの残高が増えると、同じ下落率でも金額としての影響が大きくなります。残高100万円の30%下落は30万円ですが、残高1,000万円なら300万円です。値下がりした金額を見て運用方針を変えてしまいそうなら、少しずつ債券比率を増やし、資産全体の値動きを抑える方法があります。

50代の資産配分例|受取時期を意識して値動きを抑える

50代は、受取開始までの期間と退職後の使い方を具体的に考える時期です。一例として、株式投資信託30~60%、債券投資信託・元本確保型40~70%が考えられます。

受取開始まで10年程度になったら、株式投資信託の一部を債券投資信託や元本確保型へ移し始めます。一度に切り替えるのではなく、毎年または数年ごとに株式比率を下げていけば、特定の時期の市場価格に判断が左右されるのを抑えやすくなります。

ただし、50代だから株式をほとんど持たないほうがよいとは限りません。企業型DCを年金形式で受け取り、受取開始後も10年、20年と運用を続ける場合は、すぐに使わない部分に株式を残す選択肢があります。老後も物価が上昇する可能性を考えると、資産のすべてを値動きの小さい商品へ移すことが最適とは限らないためです。

年代別の資産配分例をまとめると、次のようになります。

年代株式投資信託債券投資信託・元本確保型主な考え方
20代80~100%0~20%長い運用期間を生かして成長性を重視する
30代70~90%10~30%成長性を重視しながら家計全体とのバランスを見る
40代60~80%20~40%資産形成を続けながら出口を意識し始める
50代30~60%40~70%受取時期に向けて価格変動を段階的に抑える

この配分はあくまで一般的なモデルケースです。実際には年代だけでなく、受取開始までの期間、公的年金や退職金、預貯金、新NISAなどを含めた資産状況、運用中の値下がりに耐えられるかを踏まえて調整します。

受取10年前から考えたい「出口に向けた資産配分」

企業型DCでは、商品を選んで積み立てを始めることに意識が向きやすい一方、受取時期に向けて資産配分を見直す「出口戦略」も欠かせません。

資産形成期には、短期的な値下がりがあっても、積み立てを続けながら回復を待つ時間があります。しかし、退職や受取開始が近づくと、同じ値下がりでも家計に与える影響が大きくなります。そのため、受取開始まで10年程度になったら、株式投資信託を中心に増やす運用から、債券投資信託や元本確保型を多めに持つ運用へ、少しずつ移行する方法が考えられます。

受取直前まで株式中心で運用するリスク

株式投資信託を長期保有していても、受取直前に株価が下落する可能性はあります。例えば、企業型DCの残高が1,500万円あり、そのうち株式投資信託が80%を占めている場合、株式部分が30%下落すると、ほかの資産が変動しなかったとしても資産全体で約360万円減少します。

30代であれば、その後も積み立てながら相場の回復を待てる可能性があります。しかし、退職直後に住宅ローンの返済や生活費などへ充てる予定だった場合、必要な金額を確保するため、値下がりした状態で売却しなければならないかもしれません。

もちろん、受取直前まで株式市場が上昇する可能性もあります。早い時期に株式を減らすと、その後の上昇による利益を十分に得られないこともあるでしょう。だからこそ、将来の相場を予想して一度に切り替えるのではなく、受取時期に合わせて段階的に資産配分を変えていくことが現実的です。

受取10年前はスイッチング開始の目安になる

株式投資信託から債券投資信託などへの移行は、受取開始のおおむね10年前から検討すると、時間をかけて進めやすくなります。ただし、10年前という時期に制度上の決まりがあるわけではなく、すべての人に共通する正解でもありません。

退職時に企業型DCを一括で受け取り、早い時期から使う予定であれば、価格変動を抑える準備を早めに始める必要があります。一方、年金形式で少しずつ受け取り、受取開始後も長期間運用する予定であれば、株式比率を比較的高く残す選択肢もあります。

また、企業型DC以外に十分な預貯金や退職金があり、当面は企業型DCを生活費に使わない人と、退職後すぐに取り崩す予定の人とでは、取れるリスクが異なります。受取10年前を機械的な切り替え時期と考えるのではなく、退職後の資金計画を具体化し始める時期として捉えるとよいでしょう。

株式から債券へ段階的に移すイメージ

受取開始に向けた資産配分の変更例として、次のような流れが考えられます。

時期株式投資信託債券投資信託・元本確保型運用の考え方
受取まで10年程度60%40%成長性を残しながら値動きを抑え始める
受取まで5年程度30~40%60~70%受取予定額を意識して安定資産を増やす
受取直前10~30%70~90%近いうちに使う資金の価格変動を抑える

例えば、毎年、保有する株式投資信託の5~10%程度を債券投資信託や元本確保型へ移す方法があります。今後拠出される掛金の配分を先に債券中心へ変更し、その後、既に保有している株式を少しずつ移すことも可能です。

この配分も一例であり、一律に当てはめるものではありません。退職後も長期間使わない資金については、株式投資信託を一定割合残し、成長性やインフレへの対応を図る考え方もあります。資産全体を「退職後すぐに使うお金」「10年以内に使うお金」「それより先まで運用できるお金」に分け、それぞれに適した商品を持たせると、配分を考えやすくなります。

債券投資信託なら絶対に安全というわけではない

出口に向けて債券比率を増やす目的は、損失を完全に防ぐことではなく、株式だけで運用する場合よりも資産全体の値動きを抑えることです。

債券価格は、市場金利や発行体の信用状況などによって変化します。一般に、市場金利が上昇すると、既に発行されている債券の価格は下落しやすくなります。また、外国債券投資信託は、債券価格に加えて為替変動の影響も受けます。円高が進めば、現地通貨では価格が変わっていなくても、円換算した基準価額が下がる可能性があります。

したがって、受取直前に使う金額を安定させたい場合は、債券投資信託だけでなく、企業型DCの商品一覧にある定期預金などの元本確保型を組み合わせる方法もあります。

一方、元本確保型へ早く移しすぎると、資産が増えにくくなり、長い老後期間における物価上昇へ対応しにくくなる可能性があります。債券や元本確保型は「安全だから選ぶ」のではなく、「いつ使う資金の値動きを、どの程度抑えたいか」という目的から配分を決めることが大切です。

「配分変更」と「スイッチング」の違いを理解する

企業型DCの商品を見直す際に、混同されやすいのが「配分変更」と「スイッチング」です。どちらも運用商品を変更する手続きですが、変更の対象が異なります。

受取時期に向けて資産配分を変える場合、配分変更だけでは既に積み立てた資産の比率が変わらないため、両方の仕組みを理解しておく必要があります。

配分変更はこれから積み立てる掛金の行き先を変える手続き

配分変更とは、今後拠出される掛金で、どの商品を何%購入するかを変更する手続きです。

例えば、これまで毎月の掛金を全世界株式型へ100%配分していた人が、今後は全世界株式型50%、国内債券型30%、元本確保型20%に変更するケースが該当します。

配分変更をしても、既に保有している全世界株式型はそのまま残ります。残高が大きくなっている場合、新しい掛金の配分だけを変えても、資産全体の株式比率はなかなか下がりません。

そのため、若い時期に今後の積立先を変更するだけなら配分変更で対応できることもありますが、受取直前の価格変動を抑えたい場合は、既存資産についても見直す必要があります。

スイッチングは保有中の商品を別の商品へ移す手続き

スイッチングとは、現在保有している商品を売却し、その資金で別の商品を購入する手続きです。例えば、保有中の株式投資信託100万円分を売却し、国内債券投資信託や元本確保型へ移す場合が該当します。

企業型DCでは、用意されている商品の範囲内で、基本的に運用商品を途中変更できます。ただし、注文した時点の価格で即座に売買できるとは限りません。投資信託は申込日、売却成立日、購入成立日などが異なることがあり、外国資産を対象とする商品は手続きに日数がかかる場合もあります。

スイッチングの途中に相場が動く可能性もあるため、直近の値動きを見ながら短期売買を繰り返す用途には向いていません。年齢や受取時期に応じて資産配分を整えるために利用するのが基本です。

また、商品によっては売却時に信託財産留保額などの費用がかかる場合があります。手続きをする前に、運用商品説明資料や加入者用サイトで条件を確認しましょう。

出口準備では配分変更とスイッチングを使い分ける

受取時期に向けて株式比率を下げる場合は、まず今後の掛金の配分を債券や元本確保型へ変更し、既に保有している株式投資信託も数年かけてスイッチングする方法が考えられます。

例えば、受取まで10年になった時点で、新しい掛金を株式50%、債券等50%へ変更します。そのうえで、既存の株式投資信託を毎年少しずつ債券等へ移し、目標とする資産配分に近づけていきます。

商品の値動きによって配分が目標からずれた場合は、資産配分を元に戻す「リバランス」も有効です。株式60%、債券等40%を目標としていたのに、株価上昇によって株式が75%になった場合、株式の一部を債券等へ移して元の比率へ戻します。

頻繁に確認する必要はありませんが、少なくとも年に1回程度は現在の資産配分を確認するとよいでしょう。

企業型DCの商品選びで初心者が陥りやすい失敗

企業型DCは老後まで長く付き合う制度です。短期的な相場予想よりも、基本的な仕組みを誤解しないことのほうが、長期的な資産形成には大きく影響します。

よく分からないまま元本確保型だけで運用する

加入時に商品を決められず、とりあえず定期預金を選んだまま何年も経過しているケースがあります。元本確保型を選ぶこと自体が間違いなのではありません。価格変動を抑えたい人や、受取直前の人にとっては重要な選択肢です。

問題は、受取まで数十年あるにもかかわらず、商品の特徴を理解しないまま放置することです。金利が低い状態で元本確保型だけを持ち続けると、運用益の非課税という企業型DCの特徴を十分に生かせない可能性があります。さらに、物価上昇によって資産の実質的な価値が低下することも考えられます。

値下がりが不安なら、すべてを株式へ変更する必要はありません。株式投資信託を30%、50%など無理のない範囲から組み入れる方法もあります。

過去の運用成績が最もよい商品を選ぶ

商品一覧には、過去1年、3年、5年などの運用実績が掲載されています。ここで最も上昇率が高い商品を選びたくなるかもしれませんが、過去の好成績が将来も続くとは限りません。

直近で大きく上昇した商品は、特定の国、業種、テーマに集中していることがあります。上昇相場では高い成果が出る一方、環境が変われば大きく下落する可能性もあります。

過去の実績は参考情報の一つですが、最初に確認したいのは投資対象、分散状況、信託報酬、運用方針です。運用実績を見る場合も、1年間だけでなく、複数の期間や下落局面の値動きを確認しましょう。

商品数を増やせば分散になると考える

複数の商品を保有すれば、必ず分散投資になるわけではありません。例えば、先進国株式型、全世界株式型、米国株式型をそれぞれ保有すると、一見すると3商品へ分散しているように見えます。しかし、いずれも米国株式の比率が高ければ、実際の投資先は大きく重複します。

また、国内外の株式と債券を含むバランス型に、別の株式投資信託や債券投資信託を加えると、資産全体の構成が分かりにくくなることがあります。

企業型DCでは、幅広く分散された投資信託であれば、1本から3本程度でも十分な分散ができる場合があります。商品数ではなく、実際にどの国や資産へ投資しているかを確認することが大切です。

株価が下がったときに株式投資信託をすべて売却する

株価が大きく下落すると、「これ以上損失が広がる前に売ったほうがよい」と考えやすくなります。しかし、下落後に株式をすべて売却すると、損失を確定させ、その後の回復局面に参加できない可能性があります。

受取まで十分な期間があり、当初から長期運用を前提にしているなら、相場下落だけを理由に運用方針を大きく変えないことが基本です。積立投資では、価格が下がっている時期に多くの口数を購入できる面もあります。

ただし、下落して初めて「株式100%には耐えられない」と分かった場合は、当初の配分が自分に合っていなかった可能性があります。そのときは、相場を予想して売買するのではなく、今後も続けられる株式比率を改めて考えましょう。

一度設定したまま退職直前まで見直さない

20代に適していた配分が、50代でも適しているとは限りません。年齢が上がるだけでなく、企業型DCの残高、退職予定、受取方法、家族構成、ほかの金融資産も変わるからです。

加入当初に株式100%を選び、その後一度も見直していないと、退職直前に想定以上の値動きを抱えていることがあります。反対に、若い時期から元本確保型だけで運用し、長期の資産形成に活用できていないケースもあります。

誕生月や年末など、毎年同じ時期に運用状況を確認する習慣をつくると、見直しを忘れにくくなります。相場の上昇や下落を見て頻繁に変更するのではなく、生活設計や受取時期の変化に応じて調整することがポイントです。

FP相談の現場で想定される企業型DCの商品見直し事例

企業型DCの商品選びは、年齢だけで結論を出せません。FP相談の現場でも、同じ年代でありながら、家計や受取予定によって異なる配分が考えられます。

事例1:30代会社員が定期預金だけで運用していたケース

35歳の会社員が、入社時によく分からないまま定期預金を選び、10年近く変更していなかったケースを考えてみます。受取開始までは20年以上あり、生活防衛資金として生活費の1年分を預貯金で確保しています。住宅購入資金や教育費も、企業型DCとは別に準備を進めています。

この場合、企業型DCは老後まで使わない長期資金であるため、定期預金だけでなく、幅広く分散された株式投資信託を組み入れる余地があります。ただし、本人がこれまで投資経験を持たず、値下がりに強い不安を感じるなら、いきなり株式100%に変更する必要はありません。

例えば、株式投資信託70%、債券投資信託・元本確保型30%から始め、値動きを実際に確認しながら継続できるかを考える方法があります。商品選びだけでなく、下落時にどの程度資産額が減る可能性があるかを事前に理解しておくことも大切です。

事例2:50代会社員が株式100%のまま退職を迎えそうなケース

57歳の会社員が、企業型DCの残高1,200万円をすべて株式投資信託で運用し、60歳前後で退職する予定のケースを考えます。退職後は、企業型DCの一部を住宅ローン返済や生活費に使う予定です。

このケースでは、受取直前の株価下落が生活設計に直接影響する可能性があります。すべてを一度に売却するのではなく、退職後すぐに使う予定の金額を優先して、債券投資信託や元本確保型へ段階的に移す方法が考えられます。

例えば、退職後5年以内に使う予定の資金は値動きの小さい商品へ移し、それより先まで使わない資金には株式を一定割合残します。これにより、直近の支出へ備えながら、長期資金については成長性やインフレへの対応を残せます。

ただし、退職までの期間が短いため、数年前から出口準備を始める場合より調整できる時間は限られます。大きな売買を急ぐのではなく、企業型DC以外の預貯金や退職金も含め、いつ、いくら必要になるかを整理してから判断する必要があります。

事例から分かる「年齢だけでは決められない」ということ

30代でも価格変動が苦手であれば、債券や元本確保型を多めに持つ選択があります。50代でも、企業型DCを長期間取り崩さないのであれば、株式を一定割合保有し続けることが考えられます。

商品や配分を決める際は、少なくとも次の点を確認します。

  • 受取開始まで何年あるか
  • 退職後すぐに使う金額はいくらか
  • 一括受取と年金受取のどちらを想定しているか
  • 企業型DC以外に預貯金や退職金がいくらあるか
  • 資産が一時的に何%下落しても運用を続けられるか

年代別の配分は便利な目安ですが、最終的には家計全体と資金の使用時期から決める必要があります。

企業型DCの商品と資産配分を見直す手順

商品を見直したいと思っても、何から始めればよいのか分からないことがあります。その場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

手順1:商品一覧と現在の運用状況を確認する

加入者用サイトや運用報告書を開き、現在保有している商品、残高、損益、今後の掛金の配分を確認します。商品名だけでなく、株式、債券、元本確保型がそれぞれ何%になっているかを書き出しましょう。

手順2:受取開始までの年数を確認する

現在の年齢、退職予定年齢、企業型DCを受け取り始める予定時期を確認します。退職時に一括で使うのか、年金形式で受け取るのかによって、実際に運用できる期間は変わります。

手順3:目標とする資産配分を決める

年代別の配分を参考にしながら、価格変動への耐性やほかの金融資産を踏まえて目標比率を決めます。下落したときにも継続できるかを考え、無理に株式比率を高くしないことがポイントです。

手順4:同じ投資対象の商品を比較する

株式投資信託を選ぶなら、国内、先進国、全世界、新興国などの投資対象を確認します。同じ投資対象の商品が複数ある場合は、インデックス型かアクティブ型か、信託報酬はいくらか、純資産総額や運用方針に問題がないかを比較します。

手順5:今後の掛金について配分変更を行う

目標配分が決まったら、今後拠出される掛金の購入割合を変更します。合計が100%になるように設定し、変更がいつから反映されるかも確認しましょう。

手順6:必要に応じて既存資産をスイッチングする

既に保有している商品の配分も変えたい場合は、スイッチングを行います。特に受取前の見直しでは、一度にすべて移すのではなく、数回または数年に分けて調整する方法があります。

手順7:年1回と受取10年前を目安に見直す

毎年1回は残高と資産配分を確認し、目標から大きくずれていればリバランスを検討します。さらに、受取開始まで10年程度になったら、退職後の資金計画を具体化し、債券や元本確保型を増やす出口準備を始めます。

新NISAやiDeCoも利用している場合は家計全体で考える

企業型DCの商品配分だけを見ていても、家計全体でどの程度のリスクを取っているかは分かりません。新NISA、iDeCo、預貯金、保険、退職金なども含め、金融資産全体で確認する必要があります。

企業型DCだけを見て資産配分を決めない

例えば、企業型DCを株式50%、債券等50%にしていても、新NISAで多額の株式投資信託を保有していれば、金融資産全体では株式の割合が高くなります。反対に、家計に十分な預貯金があるなら、企業型DCでは株式比率を比較的高くする考え方もあります。

夫婦で資産形成している場合も同様です。夫婦それぞれの企業型DCやiDeCo、新NISAを別々に考えるだけでなく、世帯全体でどの資産をどの程度持っているかを確認します。

ただし、配偶者の資産を自分の資産と完全に同じように扱えるとは限りません。家計を共同管理している範囲や老後資金の分担について、夫婦間で認識を合わせることも必要です。

制度ごとの資金の使いやすさを踏まえて役割を分ける

企業型DCやiDeCoは老後資金を準備しやすい一方、原則として一定の年齢になるまで自由に引き出せません。新NISAは保有商品を必要に応じて売却できますが、売却時に価格が下落している可能性があります。預貯金は増えにくいものの、必要なときにすぐ使いやすい資産です。

それぞれには異なる役割があります。

  • 日常生活や急な支出に備えるお金は預貯金
  • 10年以内に使う可能性があるお金は値動きを抑えた資産
  • 老後まで使わないお金は企業型DCやiDeCo
  • 長期運用しながら必要に応じて使うお金は新NISA

近い将来に必要な教育費や住宅購入資金まで企業型DCの資産に頼ると、必要な時期に引き出せません。企業型DCで株式投資信託を選ぶ前に、生活防衛資金や予定されている支出を、引き出せる預貯金で確保しておくことが家計管理の前提になります。

企業型DCの商品選びに関するよくある質問

企業型DCでは結局どの商品を選べばよいですか?

受取まで長い資産形成期であれば、全世界株式型や先進国株式型など、幅広く分散された低コストの株式インデックス型を中心に検討しやすいでしょう。値動きを抑えたい場合は、国内債券型、バランス型、元本確保型などを組み合わせます。

ただし、会社によって選べる商品が異なるため、特定の商品名だけで判断することはできません。投資対象、信託報酬、運用方針、受取までの期間を確認したうえで選びましょう。

全世界株式と先進国株式はどちらがよいですか?

全世界株式型は先進国に加えて日本や新興国も含む商品が一般的で、1本で幅広く分散しやすい点が特徴です。先進国株式型は米国や欧州などの先進国を中心に投資し、新興国を含まない商品が多くなっています。

どちらが必ず有利になるかは将来の市場環境によって変わるため、事前には分かりません。より広い地域への分散を重視するなら全世界株式型、先進国中心の運用方針を明確に選ぶなら先進国株式型という考え方ができます。なお、日本株を含むかどうかは商品ごとに確認が必要です。

株式投資信託を100%にしても問題ありませんか?

受取まで長く、大幅な下落が起きても積み立てを続けられる人であれば、株式100%も選択肢の一つです。ただし、株式市場の下落時には資産額が大きく減る可能性があります。

実際に下落してから耐えられないと気づき、安値で売却してしまうケースもあります。株式100%が理論上許容できるかだけでなく、資産が30%程度下落した場合にも方針を維持できるかを考えましょう。

債券投資信託を持つと運用成果が下がりませんか?

株式市場が上昇し続ける場面では、債券を組み入れた配分は株式100%より運用成果が低くなりやすいでしょう。一方、株式市場が下落した場面では、資産全体の下落を抑える効果が期待できます。

債券を持つ目的は、最大の利益を狙うことではなく、値動きを抑えて運用を継続しやすくすることです。ただし、債券投資信託も価格変動があり、元本保証ではありません。

バランス型を1本だけ選んでもよいですか?

バランス型は、国内外の株式や債券などを1本で保有できるため、自分で複数商品を組み合わせるのが難しい人にとって分かりやすい選択肢です。自動的にリバランスされる商品もあり、管理の手間を抑えられます。

一方、株式と債券の比率を自分で細かく変更しにくく、同じ資産を対象とするインデックス型を個別に持つ場合より信託報酬が高いこともあります。資産構成、コスト、配分の変更方法を確認して選びましょう。

ターゲットイヤー型はどのような人に向いていますか?

ターゲットイヤー型は、退職や受取を想定する年に近づくにつれて、株式を減らし、債券などを増やすよう設計された投資信託です。自分で配分変更やスイッチングをする負担を減らしたい人に向いています。

ただし、商品の想定する配分が、自分の受取方法やほかの資産に合うとは限りません。目標年が同じであっても、商品によって株式比率や調整方法、信託報酬が異なるため、内容を確認する必要があります。

スイッチングはどのくらいの頻度で行えばよいですか?

相場の値動きに合わせて頻繁に行う必要はありません。年に1回程度の資産配分確認や、受取時期が近づいた際の段階的な見直しに利用する方法が基本です。

株価が上がったから売り、下がったから買うといった短期的な予想を繰り返すと、長期運用の方針が崩れやすくなります。目標配分から大きくずれたときや、退職予定などの前提が変わったときに検討しましょう。

退職直前に株価が下がったらどうすればよいですか?

すぐに全額を受け取る必要がなければ、値下がりした株式部分の売却を急がず、元本確保型や債券など値動きの比較的小さい資産から受け取る方法を検討できます。ただし、実際に選べる受取方法や運用を続けられる期間は、勤務先の規約や制度上の条件によって異なります。

退職直前の下落へ確実に対応できる方法があるわけではありません。そのため、下落してから考えるのではなく、受取10年前頃から段階的に株式比率を下げ、近いうちに使う予定の金額を確保しておくことが基本的な対策になります。

まとめ|商品名よりも運用期間と資産配分を重視しよう

企業型確定拠出年金の商品選びでは、直近の運用成績や商品名だけでなく、受取開始までの期間、投資対象、信託報酬、値動きへの耐性を確認することが大切です。

受取まで長い資産形成期は、幅広く分散された株式投資信託を中心に運用し、企業や世界経済の成長を取り込む方法が考えられます。ただし、株式100%がすべての人に適しているわけではありません。大きな下落があっても継続できる範囲で、債券投資信託や元本確保型を組み合わせます。

受取開始まで10年程度になったら、退職後の資金計画を具体化し、株式投資信託から債券投資信託や元本確保型へのスイッチングを始める時期です。一度にすべてを変更するのではなく、数年かけて債券等の比率を増やすことで、特定の時期の市場価格に左右されるリスクを抑えやすくなります。

ただし、債券投資信託も元本保証ではありません。受取直後に使うお金は元本確保型、しばらく使わないお金は債券、さらに長く運用できるお金は株式というように、使用時期に応じて役割を分ける方法が現実的です。

また、企業型DCだけで最適な配分を考えるのではなく、新NISA、iDeCo、預貯金、退職金、公的年金などを含めて家計全体を確認する必要があります。年代別の資産配分はあくまで目安です。少なくとも年に1回は運用状況を確認し、年齢や受取時期、家計の変化に合わせて無理なく続けられる配分へ調整していきましょう。

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