資産運用で大切なのは、「どの商品を買うか」だけではありません。むしろ長期的な成果を大きく左右するのは、株式・債券・REIT・金・現金などを、どの割合で持つかという資産配分です。
この資産配分のことを「アセットアロケーション」と呼びます。そして、その資産配分に沿って実際に投資信託や債券、REIT、金などを組み合わせたものが「ポートフォリオ」です。
初心者の方ほど、つい「どの投資信託がいいか」「今は買い時か」「米国株と全世界株式のどちらがいいか」といった商品選びに意識が向きがちです。しかし、本当に重要なのは、自分の年齢、家計、将来使う予定のあるお金、退職時期、リスク許容度を踏まえて、無理なく続けられる資産配分を作ることです。
さらに重要なのが、「いつそのお金を使うのか」というゴールの設定です。
iDeCoや企業型DCは、基本的に老後資金を作る制度です。つまり、退職時期や受け取り開始時期というゴールがある程度決まっています。そのため、若いうちは成長資産を中心に運用し、退職が近づくにつれて段階的に安全資産へ移していくリバランスが重要になります。
一方で、NISAは老後資金にも使えますが、教育費、住宅購入資金、独立資金、早期退職資金など、自分の資金が必要になるタイミングに合わせて使うこともできます。つまりNISAでは、自分でゴールを決め、そのゴールに合わせて決済計画を組むことが大切です。
この記事では、初心者から中級者に向けて、ポートフォリオの作り方、年齢ごとの理想的なアセットアロケーション、iDeCo・企業型DC・NISAそれぞれのゴールに合わせたリバランス方法まで詳しく解説します。
ポートフォリオとは何か
ポートフォリオとは、簡単に言えば「自分の資産の組み合わせ」のことです。
たとえば、資産全体が500万円ある人が、以下のように資産を持っているとします。
- 現金:200万円
- 外国株式投資信託:200万円
- 債券:50万円
- 金:50万円
この場合、この人のポートフォリオは「現金40%、外国株式40%、債券10%、金10%」という形になります。
つまり、ポートフォリオとは単に投資商品の一覧ではなく、自分の資産全体がどのようなバランスで構成されているかを表すものです。
投資初心者にとって特に大切なのは、証券口座の中だけで考えないことです。銀行預金、生活防衛資金、NISA、iDeCo、企業型DC、保険、退職金見込み、住宅ローンなども含めて、家計全体で考える必要があります。
たとえば、NISAで外国株式投資信託を積み立てていて、iDeCoでも外国株式、企業型DCでも外国株式を選んでいる場合、本人が思っている以上に株式リスクを取っている可能性があります。
逆に、銀行預金が多く、投資資産が少ない場合は、証券口座内では株式比率が高く見えても、家計全体ではかなり保守的な資産配分になっていることもあります。
ポートフォリオは、制度ごとではなく、家計全体で見ることが大切です。
ポートフォリオ作りで最初に考えるべきこと
ポートフォリオ作りで最初に考えるべきなのは、「何で増やすか」ではなく、いつ使うお金なのかです。
資産運用は、使う時期によって取れるリスクが大きく変わります。
たとえば、30年後の老後資金であれば、短期的に価格が下がっても回復を待つ時間があります。そのため、株式中心の運用もしやすくなります。
一方で、3年後に住宅購入の頭金として使うお金や、5年後に教育費として使うお金を株式中心で運用すると、必要なタイミングで相場が下落している可能性があります。その場合、予定していた金額を用意できなくなるかもしれません。
つまり、ポートフォリオ作りでは、まずお金を使う時期で分ける必要があります。
- すぐ使うお金
- 5年以内に使うお金
- 10年以上使わないお金
- 老後資金
- 使う時期は未定だが、将来の選択肢を広げるお金
すぐ使うお金や5年以内に使う予定のお金は、基本的に投資には向きません。預金や個人向け国債など、安全性の高い資産で持つのが基本です。
一方で、10年以上使わないお金や老後資金であれば、株式投資信託などを活用して、長期的な成長を狙いやすくなります。
アセットアロケーションとは何か
アセットアロケーションとは、資産をどの種類に、どの割合で配分するかを決めることです。
代表的な資産には、株式、債券、REIT、金、現金があります。
株式
株式は、企業の成長に投資する資産です。長期的なリターンを狙いやすい一方で、価格変動は大きくなります。
初心者が株式を取り入れる場合、個別株よりも投資信託を使った分散投資が基本になります。特に、全世界株式、先進国株式、米国株式などに広く分散されたインデックスファンドは、長期投資の中心にしやすい商品です。
株式はポートフォリオの成長エンジンです。ただし、株式比率が高くなるほど、暴落時の資産減少も大きくなります。
そのため、株式は「長期で増やすための資産」として考え、近いうちに使うお金ではなく、長期間使わないお金で保有することが重要です。
債券
債券は、国や企業にお金を貸し、利息を受け取る資産です。株式に比べると値動きが比較的安定しやすく、ポートフォリオ全体のブレーキ役になります。
特に年齢が上がるにつれて、債券の役割は重要になります。退職が近づくほど、運用で大きく増やすことよりも、これまで築いた資産を大きく減らさないことが重要になるからです。
iDeCoや企業型DCでは、退職が近づくにつれて株式比率を下げ、債券や元本確保型商品を増やしていく考え方が重要です。
REIT
REITは、不動産に投資する金融商品です。投資家から集めた資金でオフィスビル、商業施設、住宅、物流施設などに投資し、賃料収入などを分配します。
REITは株式とも債券とも異なる値動きをすることがあり、分散投資の一部として活用できます。ただし、不動産市況や金利の影響を受けるため、安定資産というよりは中リスク資産として考えるべきです。
初心者がREITを取り入れる場合は、ポートフォリオ全体の5〜10%程度から考えるとよいでしょう。
金・コモディティ
金は、株式や債券とは異なる性質を持つ資産です。利息や配当を生むわけではありませんが、インフレや通貨不安、金融市場の混乱時に価値を保ちやすい場面があります。
ただし、金も価格変動があります。安全資産というイメージだけで多く持ちすぎるのではなく、ポートフォリオ全体の5〜10%程度を目安に、守りと分散の役割として考えるのが現実的です。
現金
現金はリターンを生みにくい資産ですが、非常に重要です。
生活費、急な出費、病気や転職、家電の買い替え、住宅関連費用など、人生には突然お金が必要になる場面があります。そのときに投資資産しかないと、相場が下がっているタイミングで売却せざるを得なくなるかもしれません。
現金は「増やす資産」ではありませんが、「投資を続けるための土台」です。生活防衛資金として、最低でも生活費の6か月分、できれば1年分程度は現金で確保しておきたいところです。
年齢ごとの理想的なアセットアロケーション
ここからは、年齢ごとの理想的な資産配分の目安を見ていきます。
もちろん、正解は一つではありません。収入、家族構成、住宅ローンの有無、退職金の見込み、年金額、投資経験によって変わります。
ただし、基本的な考え方としては、若いほど株式比率を高めやすく、年齢が上がるほど債券や現金などの安定資産を増やしていくのが一般的です。
20代のポートフォリオ
20代は、人的資本が大きい時期です。人的資本とは、これから働いて収入を得る力のことです。これから何十年も働く期間があるため、短期的に資産が下がっても、積立投資を続けながら回復を待つ時間があります。
そのため、20代は比較的リスクを取りやすい年代です。
20代の目安
- 株式:80〜90%
- 債券:0〜10%
- REIT:0〜5%
- 金:0〜5%
- 現金:生活防衛資金を別枠で確保
20代で重要なのは、完璧な商品選びよりも、早く投資習慣を作ることです。毎月少額でもよいので、NISAやiDeCo、企業型DCを活用して積立投資を始めることに大きな意味があります。
ただし、生活防衛資金がない状態で株式投資を増やしすぎるのは危険です。まずは現金を確保し、そのうえで長期資金を株式中心に運用するのが基本です。
30代のポートフォリオ
30代は、資産形成の本格期です。収入が増え始める一方で、結婚、出産、住宅購入、教育費など、大きなライフイベントも見えてくる年代です。
20代と同じように株式中心でよいケースも多いですが、近い将来に使うお金と、老後に向けて運用するお金を分けて考える必要があります。
30代の目安
- 株式:70〜80%
- 債券:10〜20%
- REIT:5〜10%
- 金:5%
- 現金:生活防衛資金+5年以内に使う予定のお金
30代では、目的別にお金を分けることが大切です。老後資金は株式中心で長期運用し、住宅購入資金や教育費のように使う時期が近いお金は、預金や債券などで安全性を重視します。
NISAを老後資金として使うのか、住宅購入や教育費にも使うのかによって、運用方針は変わります。
同じNISAでも、20年以上使わないお金なら株式中心で運用しやすいですが、5〜7年後に使う可能性があるお金なら、途中から現金化や債券への移行を考える必要があります。
40代のポートフォリオ
40代は、資産形成の中盤から後半に入る時期です。収入が安定している人も多い一方で、教育費、住宅ローン、親の介護、自分の老後資金など、家計上の責任も重くなりやすい年代です。
40代では、まだ株式による成長も必要ですが、少しずつ守りの資産を増やす意識が必要になります。
40代の目安
- 株式:60〜70%
- 債券:20〜30%
- REIT:5〜10%
- 金:5〜10%
- 現金:生活防衛資金+近い支出分
40代で重要なのは、資産形成のペースを落としすぎないことです。老後までまだ20年前後あるため、過度に安全資産へ寄せすぎると、インフレに負ける可能性があります。
一方で、NISAの一部を教育費や住宅ローン繰上返済、独立資金などに使う予定がある場合は、その資金については使う時期から逆算した決済計画が必要です。
50代のポートフォリオ
50代は、退職が現実的に見え始める時期です。ここからは、資産を増やすことと同時に、資産を守ることが非常に重要になります。
50代で大きな暴落を受けると、回復を待つ時間が若い世代より短くなります。そのため、段階的に株式比率を下げ、債券や現金の比率を高めていくことが大切です。
50代の目安
- 株式:40〜60%
- 債券:30〜40%
- REIT:5〜10%
- 金:5〜10%
- 現金:生活防衛資金+退職前後の支出分
50代では、退職金、企業型DC、iDeCo、公的年金、住宅ローン残高を含めて、老後資金全体を見直す必要があります。
特にiDeCoや企業型DCは、退職時期というゴールが見えている制度です。退職直前まで株式比率が高いままだと、受け取り直前の暴落で資産額が大きく減る可能性があります。
そのため、50代からは「増やす運用」だけでなく、「受け取るための運用」に少しずつ切り替えていく必要があります。
60代以降のポートフォリオ
60代以降は、資産を取り崩しながら生活する段階に入ります。ここでは、増やすことよりも「長持ちさせること」が重要になります。
ただし、60代で株式を完全にゼロにする必要はありません。人生100年時代を考えると、60代からでも20年以上の運用期間が残る可能性があります。インフレに対応するためにも、一定の成長資産は必要です。
60代以降の目安
- 株式:30〜40%
- 債券:40〜50%
- REIT:5〜10%
- 金:5〜10%
- 現金:生活費2〜3年分
60代以降は、生活費として使うお金を現金で確保しつつ、残りを債券や株式で運用する形が現実的です。
理想は、短期資金・中期資金・長期資金を分けることです。
すぐ使うお金は現金、数年以内に使うお金は債券中心、10年以上使わないお金は株式も含めて運用する。このように分けることで、暴落時にも慌てて売却しなくて済みます。
iDeCo・企業型DCはゴールに合わせてリバランスする
iDeCoと企業型DCは、老後資金形成を目的とした制度です。
この2つの制度では、原則として長期運用が前提になります。そして、受け取り時期も退職前後に集中しやすいという特徴があります。
つまり、iDeCoと企業型DCでは、ゴールがある程度決まっているということです。
この特徴を考えると、若いうちは株式中心で成長を狙い、退職が近づくにつれて段階的に債券や元本確保型商品へ移していくリバランスが重要になります。
iDeCo・企業型DCで避けたい失敗
iDeCoや企業型DCでよくある失敗は、加入時に商品を選んだまま、何十年も放置してしまうことです。
20代や30代で外国株式中心の運用を始めること自体は、決して悪いことではありません。長期で運用できるため、株式の成長を活用しやすいからです。
しかし、50代後半や60代になっても株式100%のままだと、受け取り直前の暴落リスクが大きくなります。
たとえば、60歳で受け取る予定だったiDeCo資産が、直前の相場下落で30%減ってしまった場合、その後の老後資金計画に大きな影響が出る可能性があります。
退職直前の資産は、これから30年かけて増やすお金ではなく、近いうちに受け取るお金です。そのため、若い時期と同じリスクを取り続けるのは合理的とは言えません。
iDeCo・企業型DCの段階的リバランス例
iDeCoや企業型DCでは、退職時期から逆算してリバランスを考えるとわかりやすくなります。
たとえば65歳で退職・受け取りを想定する場合、以下のようなイメージです。
30代〜40代前半
- 株式:80〜90%
- 債券・元本確保型:10〜20%
この時期は、まだ退職まで時間があります。長期運用のメリットを活かし、株式中心で資産成長を狙うことができます。
ただし、リスクが怖い人や家計全体で株式比率が高すぎる人は、債券を少し加えてもよいでしょう。
40代後半〜50代前半
- 株式:60〜70%
- 債券・元本確保型:30〜40%
この時期から、少しずつ守りの資産を増やしていきます。
まだ成長を狙う必要はありますが、退職までの時間は徐々に短くなっています。株式比率を高くしすぎると、暴落時のダメージが大きくなります。
50代後半
- 株式:40〜50%
- 債券・元本確保型:50〜60%
退職が近づくにつれて、資産を守る意識を強めます。
この時期には、老後資金全体を見ながら、iDeCoや企業型DCの受け取り方も考え始める必要があります。一時金で受け取るのか、年金形式で受け取るのか、退職金と合わせてどう受け取るのかによって、運用方針も変わります。
60歳以降・受け取り前
- 株式:10〜30%
- 債券・元本確保型:70〜90%
受け取りが近い資金については、大きな値下がりを避けることを優先します。
ただし、すべてを元本確保型にする必要があるとは限りません。年金形式で長く受け取る場合は、一部を株式で残し、インフレ対策や長寿リスクへの備えとする考え方もあります。
大切なのは、退職直前になって慌てて変更するのではなく、10年程度かけて段階的にリスクを下げていくことです。
NISAは資金が必要なタイミングをゴールにする
NISAは、iDeCoや企業型DCとは性質が異なります。
iDeCoや企業型DCは老後資金が主な目的であり、受け取り時期もある程度決まっています。一方で、NISAは資金の使い道が自由です。
老後資金として使ってもよいですし、教育費、住宅購入資金、セミリタイア資金、独立資金、親の介護費、将来の生活防衛資金として使うこともできます。
だからこそ、NISAでは「何となく積み立てる」のではなく、自分の資金が必要になるタイミングをゴールとして設定することが重要です。
NISAに必要な決済計画とは
NISAは非課税で長期運用できる便利な制度ですが、いつ売却するかを考えずに運用していると、必要なタイミングで相場が悪い可能性があります。
たとえば、10年後に住宅購入資金として使うつもりでNISAを運用していたとします。ところが、10年後の直前に株式市場が大きく下落した場合、予定していた金額を用意できないかもしれません。
このようなリスクを避けるために必要なのが、決済計画です。
決済計画とは、簡単に言えば「いつ、どのくらい売却して、どのように現金化していくか」をあらかじめ考えておくことです。
NISAは長期投資に向いていますが、出口を考えないまま運用する制度ではありません。むしろ、ゴールが自由だからこそ、自分で出口を設計する必要があります。
NISAのゴール別リバランス例
NISAのリバランスは、資金を使う時期によって変わります。
20年以上使わない老後資金
- 株式:70〜90%
- 債券・金・REIT:10〜30%
20年以上使わない資金であれば、株式中心の運用がしやすくなります。
この場合、NISAは長期の非課税メリットを活かしやすいため、全世界株式や先進国株式などの投資信託を中心に考えるのが基本です。
ただし、50代以降は老後資金としてのゴールが近づいてくるため、段階的にリスクを下げることも検討します。
10年後に使う予定の資金
- 初期:株式70%、債券・現金30%
- 5年前:株式50%、債券・現金50%
- 3年前:株式30%、債券・現金70%
- 1年前:必要額は現金化
10年後に使う予定がある場合、最初からすべて現金で置いておくと、インフレに負ける可能性があります。一方で、最後まで株式中心にしておくと、直前の暴落リスクがあります。
そのため、ゴールが近づくにつれて、段階的に株式比率を下げていくことが大切です。
5年以内に使う予定の資金
5年以内に使う予定があるお金は、基本的に株式中心の運用には向きません。
NISAで運用する場合でも、価格変動の大きい資産は避け、現金化を優先した方が安全です。
特に住宅購入の頭金や教育費のように、使う時期と金額がある程度決まっているお金は、増やすことよりも確実に準備することを優先すべきです。
リバランスとは何か
リバランスとは、運用によって崩れた資産配分を、目標配分に戻す作業です。
たとえば、最初に以下のような配分で運用を始めたとします。
- 株式:60%
- 債券:30%
- 金:10%
その後、株式市場が大きく上昇し、資産配分が以下のようになったとします。
- 株式:75%
- 債券:18%
- 金:7%
この状態では、当初よりも株式リスクが高くなっています。そこで、増えた株式の一部を売却し、債券や金を買い増して、元の配分に近づけます。これがリバランスです。
リバランスの目的は、単にきれいな割合に戻すことではありません。目的は、取りすぎたリスクを調整し、運用を長く続けやすくすることです。
段階的なリバランス方法
リバランスには、一度に売買して配分を戻す方法もありますが、初心者や中級者には段階的なリバランスがおすすめです。
一気に売買すると、相場のタイミングが気になりやすくなります。また、課税口座で売却益が出る場合は税金も発生します。段階的に調整すれば、心理的な負担を抑えながら、無理なく配分を整えられます。
方法1:積立額で調整する
最も簡単なリバランス方法は、毎月の積立額で調整する方法です。
たとえば、目標配分が「株式60%、債券30%、金10%」なのに、株式が70%まで増えている場合、新しく積み立てるお金は債券や金に多めに回します。
この方法なら、保有中の商品を売却しなくても、少しずつ配分を整えられます。NISA口座でも使いやすく、税金の負担も抑えやすい方法です。
初心者は、まずこの方法から始めるのがおすすめです。
方法2:年1回だけ確認する
リバランスは頻繁に行う必要はありません。毎日価格を見て調整しようとすると、かえって精神的に疲れてしまいます。
基本的には、年1回または半年に1回程度で十分です。たとえば、毎年1月や誕生月に資産配分を確認するなど、タイミングを決めておくと続けやすくなります。
確認する内容はシンプルです。
- 現在の資産配分を確認する
- 目標配分とのズレを見る
- ゴールまでの期間を確認する
- ズレが大きければ調整する
- 年齢やライフイベントに合わせて目標配分を見直す
大切なのは、相場が上がったから、下がったからと感情的に判断するのではなく、事前に決めたタイミングで淡々と確認することです。
方法3:一定以上ズレたら調整する
中級者には、一定以上ズレたらリバランスする方法も向いています。
たとえば、目標配分が株式60%の場合、株式比率が65%を超えたら一部を売却し、55%を下回ったら株式を買い増す、というルールです。
目安としては、目標配分から5%以上ズレたら調整を検討するとよいでしょう。
この方法は、相場の変動に合わせて柔軟に対応できます。ただし、頻繁に売買しすぎると手間や税金の問題が出てくるため、あくまでルールを決めて機械的に行うことが大切です。
方法4:ゴールまでの年数で調整する
もっとも重要なのが、ゴールまでの年数に合わせて調整する方法です。
iDeCoや企業型DCであれば、退職時期や受け取り開始時期がゴールになります。NISAであれば、住宅購入、教育費、老後資金、セミリタイアなど、自分がお金を使うタイミングがゴールになります。
ゴールが近づいているにもかかわらず株式比率が高いままだと、必要なタイミングで資産が大きく減っている可能性があります。
そのため、以下のように段階的にリスクを下げていく考え方が重要です。
- ゴールまで15年以上:株式中心で成長を狙う
- ゴールまで10年:一部を債券や金に移す
- ゴールまで5年:必要額を意識して安全資産を増やす
- ゴールまで3年:使う予定額はかなり保守的にする
- ゴールまで1年:必要額は原則として現金化する
この考え方を入れるだけで、ポートフォリオはかなり実践的になります。
投資は「買って終わり」ではありません。最終的には、必要なタイミングで使える形にするところまでが運用です。
初心者が避けたいポートフォリオの失敗例
初心者がやりがちな失敗の一つは、人気商品を集めすぎることです。
米国株式、全世界株式、高配当株、REIT、テーマ型ファンド、金、暗号資産など、気になるものを次々に買っていくと、一見分散しているように見えます。しかし、実際には株式リスクに偏っていることもあります。
もう一つの失敗は、現金を軽視することです。投資効率だけを考えると、現金はリターンを生まないため無駄に見えるかもしれません。しかし、現金がないと、相場下落時に投資を続けられなくなります。
さらに、出口を考えないことも大きな失敗です。
特にNISAでは、非課税で運用できることに意識が向きすぎて、「いつ売却するのか」「何に使うのか」を考えないまま積み立ててしまうことがあります。
しかし、資産運用は売却して使うところまで含めて考える必要があります。どれだけ増えても、必要なタイミングで大きく下がっていれば、計画通りに使えない可能性があります。
ポートフォリオ作りの実践ステップ
最後に、実際にポートフォリオを作る手順を整理します。
ステップ1:資産をすべて書き出す
まずは、銀行預金、証券口座、NISA、iDeCo、企業型DC、保険、退職金見込みなどをすべて書き出します。
投資商品だけを見るのではなく、家計全体の資産を把握することが重要です。
ステップ2:使う時期でお金を分ける
次に、お金を使う時期で分けます。
- すぐ使うお金
- 5年以内に使うお金
- 10年以上使わないお金
- 老後資金
すぐ使うお金や近いうちに使うお金は、基本的に投資に回すべきではありません。長期で使わないお金を中心に運用することで、相場変動に耐えやすくなります。
ステップ3:制度ごとのゴールを決める
次に、NISA、iDeCo、企業型DCのゴールを整理します。
iDeCoと企業型DCは、退職時期や受け取り開始時期をゴールとして考えます。そこから逆算して、いつから株式比率を下げるかを決めます。
NISAは、自分がお金を使うタイミングをゴールにします。老後資金として使うのか、住宅購入資金に使うのか、教育費に使うのかによって、運用期間もリスクの取り方も変わります。
ステップ4:目標配分を決める
年齢やリスク許容度に合わせて、株式、債券、REIT、金、現金の割合を決めます。
最初は細かくしすぎなくて構いません。株式と債券の比率を決めるだけでも、十分に意味があります。
ステップ5:商品を選ぶ
目標配分が決まったら、それに合う商品を選びます。
初心者の場合は、低コストで分散されたインデックスファンドを中心に考えるとよいでしょう。外国株式、先進国債券、REIT、金連動商品などを必要に応じて組み合わせます。
ステップ6:年1回見直す
運用を始めたら、年1回は資産配分を確認します。ズレが大きければ、積立額の調整や一部売買でリバランスします。
また、結婚、出産、住宅購入、転職、退職などのライフイベントがあった場合も、ポートフォリオを見直すタイミングです。
特に大切なのは、ゴールまでの年数が短くなったときです。退職が近づいた、住宅購入が現実的になった、教育費の支払いが近づいた。このような場面では、資産を増やすことよりも、使える状態に近づけることが重要になります。
まとめ:ポートフォリオはゴールから逆算して作る
ポートフォリオ作りに、万人共通の正解はありません。
大切なのは、自分の年齢、家計、将来の予定、リスク許容度に合った配分を作ることです。若いうちは株式中心で成長を狙いやすく、年齢が上がるにつれて債券や現金などの安定資産を増やしていく。この基本を押さえるだけでも、資産運用の失敗はかなり減らせます。
そして、これからの資産運用では「制度ごとのゴール設計」が非常に重要です。
iDeCoや企業型DCは、退職時期や受け取り開始時期というゴールがある程度決まっています。そのため、ゴールに合わせて段階的にリスクを下げるリバランスが必要です。
一方で、NISAは使い道が自由です。だからこそ、自分でゴールを決める必要があります。老後資金なのか、住宅購入資金なのか、教育費なのか、将来の自由資金なのか。その目的によって、運用期間も、株式比率も、決済計画も変わります。
資産運用は、買うことだけが目的ではありません。最終的には、必要なタイミングで使える状態にすることが大切です。
初心者は、まず年1回の確認と、積立額による調整から始めれば十分です。中級者になれば、5%以上ズレたら調整する、退職10年前から守りを強める、NISAの使用予定時期に合わせて現金化していく、といったルールを加えていくとよいでしょう。
良いポートフォリオとは、単にリターンが高い配分ではありません。
自分の人生のゴールに合わせて、増やす時期・守る時期・使う時期を設計できている配分です。
投資は、始めることも大切です。しかし、それ以上に大切なのは、続けること、見直すこと、そして必要なタイミングで使える形にしていくことです。
ポートフォリオは一度作って終わりではなく、人生の変化に合わせて育てていくものです。







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