はじめに
「投資といえば株式投資をイメージするけれど、なんとなく怖い。」
「株価が下がって損をする可能性があるなら、預金のままの方が安全なのでは?」
FPとして資産運用の相談を受けていると、このような声をよく耳にします。
確かに株式投資にはリスクがあります。購入した株価が下がれば損失が発生しますし、企業が倒産すれば投資した資金の大部分を失う可能性もあります。
しかし一方で、現在NISAで人気となっている投資信託の多くは、世界中の株式やアメリカの株式に投資する商品です。多くの人が老後資金や将来の資産形成のために株式を活用しているのには理由があります。
実際、私がFPとして相談を受ける中でも、長期的な資産形成を考える場合に株式をまったく保有しない提案をすることはほとんどありません。
なぜなら、預金だけでは物価上昇や老後資金不足への対応が難しくなりつつある一方で、株式には企業の成長による恩恵を受けられるという大きな魅力があるからです。
重要なのは、「株式投資は危険だからやらない」と考えることでも、「株式なら必ず儲かる」と考えることでもありません。
株式のメリットとデメリットを理解し、自分の家計やライフプランに合わせて適切に活用することが大切です。
この記事では、金融商品の販売を行わない独立系FPの立場から、株式投資の仕組みやメリット・デメリット、初心者が陥りやすい失敗例、家計の中での位置付けについて詳しく解説します。
株式投資とは何か
株式は企業の成長に投資する仕組み
株式とは、企業が事業資金を集めるために発行するものです。
投資家は株式を購入することで、その企業のオーナーの一部になります。
例えば、ある企業が新しい商品を開発したり、新店舗を出店したりして利益を増やせば、その企業の価値は高まります。そして企業価値の向上は株価上昇につながる可能性があります。
つまり株式投資とは、企業の成長にお金を投じ、その成果を投資家も受け取る仕組みなのです。
銀行預金の場合、お金はほとんど増えません。しかし株式投資では企業の利益成長に応じて資産が大きく増える可能性があります。
もちろんその反面、企業の業績が悪化すれば株価は下落します。
株式投資を理解するためには、「企業の成長に期待する代わりにリスクも負う」という考え方が重要になります。
預金との違い
預金と株式の最大の違いは、元本保証の有無です。
預金は預金保険制度によって一定額まで保護されています。その代わり大きなリターンは期待できません。
一方で株式は元本保証がありません。しかし企業が成長すれば、投資した金額の何倍にもなる可能性があります。
リスクとリターンは表裏一体です。
大きく増える可能性があるということは、大きく下がる可能性もあるということです。
そのため、家計のすべてを株式に投資するのではなく、生活防衛資金を確保した上で余裕資金を活用することが大切になります。

株式投資のメリット
長期的な資産成長が期待できる
株式投資最大の魅力は、企業の成長による資産拡大が期待できることです。
私たちが日常的に利用している企業は、商品やサービスを販売して利益を生み出しています。そして、その利益を設備投資や研究開発、人材採用、新規事業などに再投資することで、さらに大きな利益を目指しています。
例えば、新しい店舗を出店したり、新商品を開発したり、海外市場へ進出したりすることで売上や利益が増加します。その結果として企業価値が高まり、株価も上昇していくことになります。
実際に過去20〜30年を振り返ると、世界経済は様々な危機を経験しながらも成長を続けてきました。インターネットの普及、スマートフォンの登場、AI技術の発展など、技術革新によって企業の利益は拡大し続けています。
もちろん、すべての企業が成長するわけではありません。競争に敗れて衰退する企業もあります。しかし世界全体で見ると、人口増加や技術革新によって経済は長期的に成長してきました。
FPとして相談を受けていると、「預金だけではなかなかお金が増えない」という悩みを持つ方が少なくありません。一方で、長期間にわたり株式や株式を中心とした投資信託へ積立投資を続けてきた方は、企業成長の恩恵を受けながら資産を大きく増やしているケースが多く見られます。
株式投資は短期間で利益を狙う投機ではなく、企業の成長に参加し、その成果を受け取るための仕組みです。だからこそ、老後資金や教育資金など10年以上先の資金作りと非常に相性が良いのです。
配当金を受け取ることができる
株式投資では、企業の利益の一部を配当金として受け取れる場合があります。これをインカムゲインと呼びます。
例えば配当利回り3%の企業に100万円投資していれば、年間3万円程度の配当金を受け取れる可能性があります。さらに、その配当金を再投資していけば複利効果も期待できます。
配当金の魅力は、自分が働かなくても収入を得られることです。
会社員の場合、収入を増やそうと思えば残業をしたり昇進したりする必要があります。しかし配当金は保有している資産そのものが収入を生み出してくれます。
実際にFP相談では、「老後に年金以外の収入源が欲しい」という相談を受けることがあります。そのような方にとって、配当金は将来の家計を支える重要な収入源になる可能性があります。
ただし注意したいのは、配当金は銀行預金の利息とは違い保証されているものではないということです。企業業績が悪化すれば減配や無配になることもあります。そのため配当利回りの高さだけで判断するのではなく、その企業が安定して利益を生み出せるかどうかを確認することが大切です。
株主優待を受けられる
日本株の特徴として株主優待制度があります。
株主優待とは、企業が株主に対して商品券や食事券、自社商品などを提供する制度です。飲食チェーンの食事券やスーパーの商品券、日用品、自社製品など様々な優待があります。
例えば、普段利用している外食チェーンの株式を保有していれば、優待券によって家族の外食費を節約できるかもしれません。また、スーパーやドラッグストアの優待を活用することで日常生活の負担を軽減できる場合もあります。
実際に相談者の中には、「株主優待を活用することで毎年数万円分の生活費が浮いている」という方もいます。
しかし、株主優待だけを目的に投資することはおすすめできません。
近年は優待制度を廃止する企業も増えており、優待がなくなった途端に株価が下落するケースもあります。また、業績が悪化しているにもかかわらず高い優待を維持している企業もあります。
株主優待はあくまでプラスアルファの特典です。本来は企業の成長性や収益力を確認したうえで投資判断を行うべきでしょう。
維持費が少ない
株式投資は保有中のコストが少ないことも魅力の一つです。
投資信託の場合は保有しているだけで信託報酬という管理費用が発生します。一見するとわずかな費用に見えますが、長期間運用すると大きな差になることがあります。
一方で個別株の場合、基本的には購入時と売却時の手数料以外に大きな維持費はかかりません。
近年はネット証券各社の競争が激しくなり、売買手数料無料のサービスも一般的になっています。そのため以前よりも低コストで株式投資を始めやすい環境が整っています。
資産運用では「どれだけ利益を出せるか」ばかりに目が向きがちですが、実際には「余計なコストをどれだけ減らせるか」も非常に重要です。
例えば年間1%のコスト差でも、20年、30年という長期運用では数百万円単位の差になることがあります。だからこそ、コストが少ないという点は株式投資の大きなメリットと言えるでしょう。
インフレに強い
近年、多くの人が物価上昇を実感しているのではないでしょうか。
以前よりも食品価格や電気代、ガソリン代、外食費などが上昇し、「同じ生活をしているのにお金が残らなくなった」と感じている方も少なくありません。
これがインフレです。
インフレが進むと、現金そのものの価値は相対的に低下します。100万円を預金していても、物価が上昇すれば買える商品やサービスは少なくなってしまいます。
一方で企業は商品やサービスの価格を引き上げることができます。もちろん全ての企業が値上げできるわけではありませんが、競争力の高い企業であれば物価上昇に合わせて売上や利益を増やせる可能性があります。
利益が増えれば企業価値が高まり、株価上昇につながることもあります。そのため株式はインフレに比較的強い資産と考えられています。
FP相談でも、「将来のために預金しているが、お金の価値が下がるのが不安」という相談を受けることがあります。そのような場合、株式は資産を増やす手段としてだけでなく、インフレから家計を守るための手段としても有効なのです。
株式投資のデメリット
株価が大きく下落することがある
株式投資最大のリスクは価格変動です。
株価は企業業績だけでなく、景気、金利、政治情勢、戦争、自然災害など様々な要因によって日々変動しています。
特に世界的な金融危機や景気後退が発生すると、大幅な下落が起こることがあります。
実際に2008年のリーマンショックでは、S&P500指数が高値から50%以上下落しました。仮に1,000万円投資していた場合、一時的に500万円近くまで減少した計算になります。
また2020年のコロナショックでも、わずか数週間で30%以上の下落が発生しました。
このような暴落を見ると、「投資は危険だ」と感じる人もいるでしょう。しかし株式投資を始めるのであれば、資産が30〜50%程度下落する可能性は十分にあることを理解しておく必要があります。
重要なのは暴落が起きないことではなく、暴落が起きても生活に支障が出ない資産配分を作ることなのです。
本当のリスクは暴落ではなく途中で売ってしまうこと
FP相談の中で最も多い失敗例の一つが、暴落時の売却です。
市場が大きく下落すると、多くの人は不安になります。そして「これ以上損をしたくない」と考えて売却してしまいます。
しかし、歴史を振り返ると多くの暴落は時間をかけて回復しています。
リーマンショック後も世界経済は成長を続け、多くの株価指数は過去最高値を更新しました。コロナショックも同様です。
つまり、本当に怖いのは暴落そのものではありません。
暴落によって安値で売却し、その後の回復を受けられなくなることです。
投資で成功するためには、暴落に耐えられる資産配分と精神的な余裕を持つことが何より重要なのです。
倒産リスクがある
個別株には倒産リスクがあります。
企業経営が悪化し、最終的に破綻してしまった場合、その企業の株式価値は大きく失われる可能性があります。
実際に過去には誰もが知る有名企業が経営破綻した事例もあります。
初心者の中には「有名企業だから安全」と考える方もいますが、有名であることと安全であることは同じではありません。
そのため、一社だけに資金を集中させることは非常に危険です。
個別株に投資する場合でも複数の企業へ分散することが重要ですし、自信がない場合は投資信託を活用する方法もあります。
配当金は保証されていない
高配当株投資は人気がありますが、配当金は決して保証されているものではありません。
企業の利益が減少すれば、配当金が減額されたり、全く支払われなくなったりすることもあります。
特に配当利回りが極端に高い企業は注意が必要です。
市場は将来の業績悪化を予想して株価を下げている場合があります。その結果として利回りだけが高く見えていることもあるのです。
高配当という言葉だけに惹かれるのではなく、その企業が安定的に利益を生み出しているかどうかを確認することが大切です。
FP相談で実際にあった失敗例
投資の本やSNSを見ると、「○○万円儲かった」「この銘柄が何倍になった」といった成功事例が目立ちます。しかし実際のFP相談では、成功事例よりも失敗事例から学ぶことの方が多いと感じています。
ここでは、実際に相談を受けた中で特に多かった失敗例を紹介します。
有名企業だから安心だと思い込んでいた
ある相談者は、テレビCMでよく見かける有名企業の株式に資産の大半を投資していました。
その方は、「誰でも知っている会社だから倒産することはないだろう」「大企業だから安心だろう」と考えていたそうです。
確かに知名度の高い企業は一定の競争力を持っていることが多く、突然倒産する可能性は低いかもしれません。しかし、有名企業だからといって株価が下がらないわけではありません。
株価は企業の将来性や利益成長への期待によって決まります。
たとえ大企業であっても、
・競争激化による利益減少
・新技術への対応遅れ
・市場環境の変化
・不祥事や経営判断の失敗
などによって株価は大きく下落する可能性があります。
実際、その相談者が保有していた企業も業績悪化が続き、株価は購入時から大幅に下落していました。
問題だったのは、資産の大半を一社に集中投資していたことです。
もし同じ金額を複数の企業や投資信託へ分散していれば、一社の業績悪化による影響は限定的だったでしょう。
株式投資を始めたばかりの方ほど、「知っている会社だから安心」「有名企業だから大丈夫」と考えがちです。しかし投資の世界では、有名であることと安全であることは必ずしも一致しません。
企業分析を行うことはもちろん重要ですが、それ以上に大切なのは、一つの企業に依存しすぎないことです。
投資の格言に「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。
どれだけ優れた企業だと思っていても、想定外の出来事は起こります。だからこそ、分散投資は初心者ほど意識したい考え方なのです。
下落時に慌てて売却してしまった
FP相談の中で最も多い失敗例の一つが、暴落時の売却です。
ある相談者はNISAで積立投資を始めていましたが、2020年のコロナショックで資産が大きく下落しました。
ニュースでは連日のように感染拡大が報道され、世界経済が止まるのではないかという不安が広がっていました。
その方は、
「もっと下がるかもしれない」
「資産がなくなってしまうかもしれない」
「今売らないと取り返しがつかなくなる」
と考え、保有していた資産をすべて売却してしまいました。
しかし、その後の市場は予想以上に早く回復しました。
各国政府や中央銀行による大規模な経済対策もあり、株価は反発し、その後は過去最高値を更新するまで上昇を続けました。
結果として、その相談者は安値で売却し、高値で買い戻すという最も避けたい行動を取ってしまったのです。
もちろん、その時点では誰にも未来は分かりません。
しかし投資の歴史を振り返ると、リーマンショック、ITバブル崩壊、コロナショックなど、大きな暴落は何度も発生してきました。そしてそのたびに市場は時間をかけて回復してきました。
私がFPとして相談を受ける際にお伝えしているのは、「暴落しない資産配分を作るのではなく、暴落しても続けられる資産配分を作ることが大切」ということです。
例えば資産が30%下落したときに眠れなくなるのであれば、その人にとって株式比率は高すぎる可能性があります。
逆に、十分な生活防衛資金を確保し、余裕資金で投資していれば、一時的な下落にも冷静に対応しやすくなります。
株式投資で成功する人と失敗する人の違いは、銘柄選びだけではありません。
暴落時にどのような行動を取るかが、長期的な資産形成の結果を大きく左右するのです。
家計における株式投資の位置付け
株式は資産形成の中心になりやすい
株式投資について調べていると、「株は危険だからやめた方がいい」という意見と、「老後資金を作るためには絶対に必要だ」という意見の両方を目にすることがあります。
しかし実際には、株式は良い悪いで判断するものではなく、家計の中でどのような役割を持たせるかが重要です。
私がFPとして相談を受ける際、多くの場合は株式や株式を中心とした投資信託を資産形成の中心として考えます。
その理由は、長期的に見ると株式が最も高い成長力を持つ資産の一つだからです。
例えば、20代や30代の方であれば、老後まで30年以上の運用期間を確保できることも珍しくありません。
投資において時間は非常に大きな武器になります。
短期間では大きく上下する株式も、長期間になるほど企業成長や経済成長の恩恵を受けやすくなります。そのため若い世代ほど、ある程度株式の比率を高めた資産形成が合理的なケースが多いのです。
一方で、年齢を重ねるにつれて考え方は変わります。
例えば60歳目前になってから資産の大半を株式で保有していると、退職直前の暴落によって老後資金が大きく減少する可能性があります。
私がライフプラン相談を行う際も、若いうちは資産を増やすことを重視し、年齢が上がるにつれて資産を守ることへ徐々にシフトする提案を行うことが少なくありません。
株式投資は資産形成の中心になりやすい資産ですが、一生同じ比率で持ち続けるものではなく、ライフステージに応じて役割が変化していくものと考えると分かりやすいでしょう。
生活防衛資金は必ず確保する
株式投資を始める際に、私が相談者へ必ずお伝えしていることがあります。
それは、
「投資を始める前に生活防衛資金を確保してください」
ということです。
生活防衛資金とは、病気やケガ、失業、転職など予想外の出来事が起きた際に生活を維持するためのお金です。
一般的には生活費の6か月から1年分程度が目安とされています。
例えば毎月20万円で生活しているのであれば、120万円から240万円程度は現金として確保しておきたいところです。
なぜこれが重要なのでしょうか。
それは株式市場が暴落したときに、生活費のために投資資産を売却しなくて済むからです。
投資の世界では暴落は必ず起こります。
リーマンショック、コロナショック、ITバブル崩壊など、大きな下落は何度も発生してきました。
しかし、暴落そのものよりも怖いのは、安値で売却せざるを得なくなることです。
例えば資産が30%下落しているタイミングで失業してしまい、生活費のために投資資産を取り崩さなければならなくなったらどうでしょうか。
本来であれば回復を待てたはずなのに、安値で売却することになってしまいます。
FP相談の中でも、「生活費まで投資に回してしまい、急な出費で損失確定せざるを得なかった」というケースは珍しくありません。
投資で成功するためには、良い銘柄を見つけることよりも、続けられる環境を作ることの方が重要です。
その土台となるのが生活防衛資金なのです。
全額を株式に投資しない
株式は資産形成において非常に魅力的な資産ですが、万能ではありません。
初心者の中には、「株式が一番増えるなら全部株式でいいのでは?」と考える方もいます。
しかし家計全体で考えると、それは必ずしも良い選択とは言えません。
なぜなら、家計には様々な役割のお金が存在するからです。
例えば、
・明日の生活費
・数年後の住宅購入資金
・子どもの教育資金
・老後資金
これらはすべて使う時期が異なります。
来年使う予定のお金と、30年後に使う予定のお金を同じ運用方法で管理するのは合理的ではありません。
そのため家計管理では、資産ごとに役割を分ける考え方が重要になります。
例えば生活防衛資金は現金で保有し、数年以内に使う予定のお金は債券や定期預金など値動きの少ない資産で管理する。そして老後資金など長期間使わない資金は株式を中心に運用するという考え方です。
また株式だけでなく、
・債券
・REIT(不動産投資信託)
・金(ゴールド)
・現金
などを組み合わせることで、資産全体の値動きを抑える効果も期待できます。
実際にFP相談では、「暴落が怖いから投資できない」という方も少なくありません。しかし、その多くは株式しか選択肢がないと思い込んでいるケースです。
投資は株式だけで行うものではありません。
様々な資産を組み合わせながら、自分の年齢や家計状況、将来の計画に合わせて最適なバランスを作ることが重要なのです。
株式投資は家計を豊かにするための有力な手段ですが、それはあくまで家計全体の一部です。
「どの株を買うか」よりも、「家計の中でどれくらい株式を持つか」を考えることが、長期的な資産形成を成功させる大きなポイントになるでしょう。
初心者が株式を選ぶときのポイント
身近な企業から始める
株式投資を始める際、多くの初心者は「どの銘柄を買えばいいのかわからない」という壁にぶつかります。ニュースやSNSでは様々な企業名が出てきますが、事業内容がよく分からない企業に投資するのはおすすめできません。
私がFPとして相談者にお話しする際は、まず「自分や家族が普段利用している企業から調べてみましょう」とお伝えしています。例えば、よく利用するスーパーやコンビニ、携帯電話会社、飲食チェーン、ドラッグストア、衣料品店などです。
普段利用している企業であれば、日常生活の中で自然と情報が入ってきます。「最近店舗が増えている」「以前よりお客さんが増えている」「新しいサービスを始めた」「商品の人気が高まっている」といった変化に気付きやすいでしょう。反対に、店舗の閉鎖が続いていたり、客足が減っていたりする場合は、何らかの課題を抱えている可能性があります。
もちろん、店舗が混雑しているからといって必ずしも良い投資先とは限りません。しかし、企業分析の入口としては非常に優秀です。投資の世界では有名な投資家ウォーレン・バフェットも「理解できる事業に投資する」という考え方を重視しています。初心者がいきなり複雑な業界や専門性の高い企業を分析するのは簡単ではありません。まずは自分が利用し、サービス内容や収益構造をイメージできる企業から調べることで、投資に対する理解を深めやすくなります。
また、株式投資は企業の将来にお金を託す行為でもあります。その企業の商品やサービスを実際に利用し、「この会社は今後も成長しそうだ」と感じられるかどうかは、銘柄選びの大切な視点になります。
ROEを確認する
企業を選ぶ際には、ROE(自己資本利益率)という指標が参考になります。ROEとは、株主が出資したお金を使って、どれだけ効率よく利益を生み出しているかを示す指標です。
例えば、同じ100億円の自己資本を持つ企業が2社あったとします。A社が年間10億円の利益を生み出しているのに対し、B社が3億円しか利益を生み出していなければ、株主から預かった資金をより効率的に活用しているのはA社です。この効率性を数値化したものがROEです。
一般的には、ROEが高い企業ほど収益力が高く、経営効率が良いと考えられます。実際に長期間にわたり高いROEを維持している企業は、競争力が高く、株価も長期的に成長しているケースが少なくありません。そのため、多くの投資家や機関投資家が企業分析を行う際にROEを重視しています。
ただし、ROEが高ければ必ず良い企業というわけではありません。企業によっては借入金を増やすことで自己資本を少なくし、見かけ上ROEを高くしている場合もあります。また、一時的な特別利益によってROEが高くなっているケースもあります。
そのため、ROEを見る際は単年度だけで判断するのではなく、過去数年間にわたって安定して高い水準を維持しているかを確認することが重要です。加えて、売上高や利益の推移、借入金の状況なども合わせて確認すると、その企業の本当の実力が見えやすくなります。
初心者の場合は難しく考えすぎず、「この企業は株主のお金を効率よく活用できているだろうか」という視点で見るだけでも十分です。ROEは企業の稼ぐ力を知るための重要なヒントになるでしょう。
PBRを確認する
PBR(株価純資産倍率)は、その企業の株価が資産価値と比べて割高なのか割安なのかを判断するための指標です。
企業は現金や土地、建物、設備など様々な資産を保有しています。これらの資産から負債を差し引いたものが純資産です。PBRは、その純資産に対して現在の株価が何倍まで評価されているかを示しています。
例えば、会社が保有している純資産を1株あたりに換算した金額が1,000円で、株価も1,000円であればPBRは1倍になります。理論上は、会社を解散して資産を全て売却した場合、その価値と株価がほぼ同じという状態です。
一般的には、PBRが1倍を下回ると割安と判断されることがあります。しかし、初心者がよく勘違いするのが、「PBRが低い企業=良い投資先」ではないということです。
株価が低いのには理由があります。業績が低迷している場合や、将来の成長が期待されていない場合、市場参加者がその企業を低く評価している結果としてPBRが低くなっていることがあります。つまり、「安いから買う」のではなく、「なぜ安いのか」を考えることが大切です。
一方で、PBRが高い企業にも投資価値がある場合があります。例えば、成長企業や業界トップ企業は将来の利益成長が期待されるため、純資産以上の価値があると評価されることがあります。その結果としてPBRが高くなります。
実際の銘柄選びでは、PBRだけを単独で見るのではなく、ROEや売上成長率、利益の推移などと組み合わせて判断することが重要です。例えば、ROEが高く利益をしっかり生み出しているにもかかわらず、PBRが比較的低い企業であれば、市場から十分に評価されていない可能性があります。
まとめ
株式投資は、企業の成長による値上がり益や配当金を期待できる魅力的な資産です。一方で、価格変動や倒産リスクなども存在します。
しかし長期的な資産形成を考えると、株式は非常に重要な役割を担います。実際に多くのNISA利用者が株式を活用して資産形成を行っています。
大切なのは、生活防衛資金を確保した上で、長期・分散・積立を意識することです。
株式投資は短期的には大きく上下します。しかし企業の成長と経済の発展を信じて長期的に向き合うことで、家計の大きな助けになる可能性があります。





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