
そういえば債券投資ってリスクが低いって聞くわよね。
実際どうなのかしら?



株価に比べると価格や利回りは安定していると言える。
でも債券にもいろいろな種類があって、それぞれリスクや利回りが違うから、一概には言えないところがあるんだ。



そうなのね…
どうやって選んだらいいのかしら…



そうだね…
じゃあ今日は、債券投資をするメリットとデメリット、銘柄の選び方を見ていこうか。



はい!お願いします!
債券の主な種類
主な債券は以下の通りです。
大分類 | 小分類 | 特徴 |
---|---|---|
国債 | 個人向け国債 | 個人のみが購入できる国債で、満期を待たずに換金する際には所定の金額が差し引かれるものの、元本割れはしない。 |
新窓販国債 | 2年、5年、10年満期の固定金利。適用利率は満期まで変わらず、半年ごとに利子が支払われる。なお、満期を待たずに換金するには市場価格で売却することになるため、元本割れするリスクがある。 | |
利付国債 | 定期的に利子の支払いがある国債のこと。 | |
社債 | 企業が発行する債券のこと。満期までの期間は様々で、利率は発行時点の金利水準をベースに発行体の信用度に応じて決められる。 | |
外債 | 円建外債 | 国際機関や外国の政府、法人が日本国内で発行する円貨建ての債券で、為替の影響は受けない。 |
外貨建債 | 米ドルなどの外貨建てで、外国の政府や法人又は国内法人が国内外で発行する債券。為替変動によって購入時に比べ円高になると為替差損が、円安になると為替差益が発生する。 | |
二重通貨建債 | 利払いと償還が異なる通貨で行われる債券のこと。「購入代金の払い込みと利払いが円貨建て、償還が外貨建て」のデュアル・カレンシー債、「払い込みと償還が円貨建て、利払いが外貨建て」のリバース・デュアル・カレンシー債の2種類がある。 |
債券で資産運用するメリット
債券投資は、安定した収益を確保しながらリスクを抑えた運用ができる点で、幅広い投資家に支持されています。特に、株式や投資信託などに比べて値動きが小さく、計画的に資産を増やしたい人に向いています。ここでは、債券で資産運用を行う際の主なメリットを詳しく解説します。
銀行の金利より利回りが高い
債券による資産運用の大きな魅力は、銀行預金よりも高い利回りを得られる点にあります。特に日本のような低金利環境では、普通預金や定期預金の金利がほとんど増えない状況が続いています。そのため、より効率的に資産を増やす手段として債券投資が注目されています。債券は、国や企業などの発行体にお金を貸す代わりに、一定の利息(クーポン)を受け取る仕組みです。発行体の信用力や償還期間によって利回りは異なりますが、リスクを抑えながら預金よりも高い収益を狙えるのが特徴です。長期的な資産形成を考えるうえで、債券は堅実かつ安定した選択肢といえるでしょう。
株式に比べてリスクが低い
債券投資は、株式に比べて価格変動リスクが小さいため、安定した資産運用を目指す人に適しています。株式は市場の景気動向や企業業績に大きく左右され、短期間で大きく値下がりする可能性もあります。一方、債券は発行時に満期日と利率が定められており、発行体が破綻しない限り、満期時には元本が返還される仕組みです。そのため、価格変動によるリスクを抑えながら、安定的に利息収入を得ることができます。特に、リスク分散を重視するポートフォリオにおいては、株式と債券をバランスよく組み合わせることで、全体のリスクを下げつつ安定したリターンを期待できる点がメリットです。
売却益の可能性
債券は、満期まで保有するだけでなく、市場で売却して利益を得ることも可能です。特に、購入後に市場金利が下がると債券価格が上昇するため、売却益(キャピタルゲイン)を得るチャンスが生まれます。例えば、利回り2%の債券を購入後に市場金利が1%まで下がった場合、より高い利息を受け取れる既発債の価値が上がり、高値で売却できる可能性があります。もちろん、金利上昇局面では債券価格が下落することもありますが、市場動向を見極めることで短期的な利益獲得も狙えます。安定収入である利息と売却益の両方を得られる点が、債券運用の柔軟な魅力といえるでしょう。
事前に利息を計算できる
債券投資は、購入時点で償還日までの利息や元本の返還額を計算できる「見通しの立てやすさ」が大きな特徴です。株式のように配当金や価格変動が不確定な商品と異なり、債券は利率(クーポン)があらかじめ固定されているため、どれだけの利息をいつ受け取れるかを事前に把握できます。この安定性は、将来の支出計画や老後資金の設計にも役立ちます。例えば、一定期間ごとに利息を受け取れる債券を組み合わせることで、定期的な収入源を確保することも可能です。リスクを抑えながら、計画的に資産を運用したい人にとって、債券は非常に有効な選択肢となります。
債券で資産運用するデメリット
債券投資は、安定した利回りを得やすい反面、いくつかのデメリットやリスクも存在します。ここでは、債務不履行リスクや価格変動リスクなど、投資判断において理解しておくべき代表的な注意点を詳しく解説します。
債務不履行リスク(信用リスク)
債券投資で最も注意すべきなのが「債務不履行リスク(信用リスク)」です。これは、債券を発行した国や企業が財務状況の悪化によって元本や利息の支払いを行えなくなるリスクを指します。特に企業債(社債)や新興国の国債では、発行体の経営状況や財務健全性によって信用度が大きく異なります。信用格付けが高い債券は比較的安全ですが、その分利回りは低めです。投資先を選ぶ際には、信用格付け(AAA〜BBなど)や発行体の業績、財務指標を確認し、リスクを分散することが資産運用成功の鍵となります。
流動性リスク
債券は株式のように活発に取引される金融商品ではないため、「流動性リスク」があります。これは、債券を途中で売却したい場合に市場に買い手が見つからず、希望価格で売れない、または売却自体が難しくなるリスクです。特に、発行量が少ない地方債や中小企業の社債などは市場規模が小さく、取引が成立しにくい傾向があります。市場環境が悪化した時期には、全体的に取引量が減り、価格が下がることもあります。流動性リスクを避けるためには、できるだけ流通量の多い国債や大企業の社債を選ぶか、満期まで保有する前提で資金を運用することが望ましいでしょう。
価格変動リスク
債券価格は「市場金利」と密接に連動しており、金利が上昇すると債券価格は下落します。このため、「価格変動リスク」も債券投資の重要な注意点です。たとえば、金利上昇局面では既発債の利率が相対的に低くなるため、債券の価値が下がり、中途売却すると損失が発生する場合があります。逆に、金利が下がる局面では債券価格が上昇し、売却益を得られる可能性もあります。こうした市場変動を理解し、運用期間と金利動向を見極めながら投資を行うことが大切です。債券は「元本保証」ではない点を忘れずに、リスクを把握しておきましょう。
為替リスク(外国債の場合)
外国債に投資する際には、「為替リスク」にも注意が必要です。これは、円と外国通貨(ドルやユーロなど)の為替レートの変動により、実際に受け取る日本円ベースの利息や元本が増減するリスクを指します。たとえば、円高が進むと円換算での受取額が減り、反対に円安では増える場合があります。為替相場は経済情勢や金利政策などに左右され、予測が難しいため、為替リスクを軽減するには「為替ヘッジ付き」の外国債券を選ぶか、複数の通貨に分散投資するのが効果的です。海外資産を活用したい人は、このリスク管理が非常に重要になります。
低利回りの債券の限界
安全性の高い債券ほど利回りが低くなる傾向があります。特に信用格付けが高い国債や大手企業の社債は、元本割れのリスクが小さい反面、リターンも限定的です。このため、資産を「守る」目的には向いていますが、「増やす」目的には不向きな場合があります。また、長期間保有してもインフレが進むと実質的な資産価値が目減りする点にも注意が必要です。安定性を重視しながらも、ある程度のリターンを確保したい場合は、株式や投資信託など他の資産と組み合わせる「分散投資」が効果的です。
劣後債(れつごさい)のリスク
「劣後債(Subordinated Bond)」とは、企業が発行する債券の一種で、通常の社債よりも返済順位が低い(=劣後する)債券です。企業が経営破綻した場合、他の債権者への返済が優先され、劣後債の投資家には元本が戻らない可能性が高くなります。その分、通常の社債よりも利回りが高めに設定されているのが特徴です。銀行や保険会社などの金融機関が自己資本の補強目的で発行することが多く、高リスク・高リターン型の投資商品といえます。劣後債に投資する際は、発行体の信用力や財務健全性を慎重に見極め、ポートフォリオ全体のリスクをコントロールすることが不可欠です。
家計で投資をする際の債券の位置
債券は、家計の資産運用において「安定性」を担う重要な役割を果たします。株式などのリスク資産と比べて値動きが穏やかで、定期的な利息収入を得られるため、長期的に安定した資産形成を目指す家庭に向いています。ただし、債券にもリスクは存在するため、家計の状況や目的に合わせて適切なバランスを取ることが大切です。以下では、債券を家計運用に組み込む際に意識すべき3つのポイントを詳しく見ていきましょう。
運用対象資金の特性
債券投資は、「今すぐ使う予定はないが、数年後には使う可能性のある資金」の運用に適しています。たとえば、教育資金や住宅購入、結婚資金など、将来的な大きな支出に備えるための中期的な運用先として活用できます。株式投資のように短期間で大きな利益を狙う商品ではなく、満期まで保有することで安定した利息収入を得られる点が特徴です。特に家計全体のリスクを抑えながら資産を着実に増やしたい場合、債券は「守りの資産」として有効です。長期の視点で見れば、貯金よりも効率的に資産を増やせる選択肢のひとつといえます。
中途売却のリスク
債券は原則として満期まで保有することを前提とした投資商品です。途中で売却する場合、市場金利の変動によって債券価格が下がっていると、損失が発生するおそれがあります。特に金利上昇局面では、既発債の価値が低下するため注意が必要です。家計運用においては、「急な支出に備えて現金をある程度確保しておく」「債券は余裕資金で運用する」といったリスク管理が重要になります。万一、資金が必要になった際に無理に売却せずに済むよう、生活費・緊急資金と投資資金を明確に分けておくことが、債券投資を安定して続けるための基本です。
分散投資の重要性
家計で債券投資を行う際には、「分散投資」が欠かせません。債券は安全性が高いとはいえ、金利変動や発行体の信用状況によっては損失を被る可能性もあります。そのため、資金を債券に全額投入するのではなく、定期預金・株式・投資信託・外国資産などと組み合わせることが効果的です。これにより、リスクを抑えながら安定的なリターンを目指すことができます。また、国内債券だけでなく、外国債券を一部取り入れることで、通貨分散や利回り向上も狙えます。家計のライフステージやリスク許容度に応じたポートフォリオを構築することが、長期的な資産形成の鍵です。
家計で投資をする際の銘柄の選び方
家計の資産運用に債券を取り入れる際は、「どの債券を選ぶか」が安定運用の鍵となります。債券は発行体や条件によってリスクや利回りが大きく異なるため、慎重に銘柄を選定することが重要です。特に家計での投資では、安全性・流動性・収益性のバランスを意識した判断が求められます。以下の3つの基準を参考に、自分に合った債券を見極めましょう。
発行体の信用度を確認する
債券投資の基本は、発行体の信用力を見極めることです。信用格付けの高い債券を選ぶことで、元本や利息が支払われない「債務不履行リスク(デフォルトリスク)」を抑えることができます。信用格付けは、ムーディーズ、S&P、R&I(日本格付研究所)などの専門機関が、発行体の財務状況や返済能力をもとに評価しています。一般的に「AAA」「AA」「A」などの高格付け債券は安全性が高く、「BBB」以下になるとリスクが上昇します。家計で安定的な資産運用を目指す場合は、信用度の高い国債や大企業の社債を中心に検討するのがおすすめです。
発行量が多く流動性の高い債券を選ぶ
債券の中には、取引量が少なく市場での売買が難しいものもあります。こうした「流動性の低い債券」は、中途売却したいときに買い手が見つからず、希望価格で売れないリスクが高まります。そのため、できるだけ発行量が多く、市場で取引が活発な債券を選ぶことが重要です。代表的な例としては、日本国債や米国債などの公債、大手企業が発行する社債などがあります。これらは市場参加者が多く、価格の透明性が高いため、万が一途中で売却が必要になった場合でもスムーズに取引しやすいのが特徴です。流動性の高さは、家計における柔軟な資金運用を支える重要なポイントです。
利回りとリスクのバランスを取る
債券投資では、「利回りの高さ」と「リスクの大きさ」が表裏一体の関係にあります。高利回りをうたう債券ほど、発行体の信用リスクや為替リスクが高い傾向があります。特に、新興国債券や劣後債などは利回りが魅力的に見えますが、元本毀損のリスクも伴うため注意が必要です。家計運用では、安定性を重視しながらも、一定のリターンを確保できる中リスク・中利回りの債券を選ぶのが現実的です。また、複数の債券に分散投資することで、個別リスクを軽減し、全体としてバランスの取れたポートフォリオを構築できます。リターンを追いすぎず、家計全体の安全性を意識した選択が大切です。
債券の取扱機関
債券は、主に「銀行」と「証券会社」で購入することができます。購入方法や取引条件は機関ごとに異なるため、事前の比較が大切です。
銀行での債券購入
銀行では、主に国債・地方債などの安全性が高い債券を中心に取り扱っています。特に日本国債は、満期まで保有すれば元本が保証されるため、初めて債券投資を行う人にも人気があります。銀行での購入は手続きが簡単で、預金や定期預金と一緒に管理できる点がメリットです。一方で、取り扱う債券の種類が限られており、社債や外国債券を選びたい場合には選択肢が少ない傾向があります。低リスクで堅実に運用したい場合に適した選択肢といえるでしょう。
証券会社での債券購入
証券会社では、国債・社債・外国債券・劣後債など、幅広い種類の債券を購入できます。ネット証券を含め、オンライン取引に対応している会社も多く、少額から分散投資を行うことも可能です。証券会社を利用する最大のメリットは、取扱商品の豊富さと市場価格での売買ができる点です。ただし、取引手数料や為替コストなどが発生する場合もあるため、事前に比較検討が必要です。また、リスクや利回りを丁寧に説明してくれる担当者がいる対面型の証券会社もあるため、初心者はサポート体制を重視して選ぶのがおすすめです。
まとめ
債券投資は、銀行預金よりも高い利回りを期待できる一方で、債務不履行リスク(信用リスク)や価格変動リスクなども伴います。特に社債や外国債券は、発行体の信用状況や為替変動によって元本割れの可能性があるため、事前の調査が欠かせません。
初心者の方は、まずは信頼性の高い国債や地方債からスタートし、慣れてきたら社債や外貨建て債券などへ投資対象を広げると良いでしょう。また、全ての資金を債券に集中させず、定期預金や投資信託などと組み合わせることでリスク分散が可能です。自分の投資目的・期間・リスク許容度に合った商品を選ぶことが、長期的に安定した資産形成の第一歩です。
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